産業廃棄物収集運搬業許可申請の代行を当事務所へ依頼するお客さんの中の一定数は、こういう要望を持っています。
「取れる品目全部とっといて。」
品目というのは、産廃の種類だと考えてください。
プラなら、「廃プラスチック類」
コンガラなら、「がれき類」
木なら「木くず」
などと、正式名称が決まっているんです。
産廃業の許可を取得する際には、何の品目を運搬するのかを申請時に指定し、許可は品目の指定の下に出されます。
紙くず、木くず、繊維くずの許可を取得した場合、金属くずは運搬できないのです。
そこで、許可を取得する業者は、申請の際に、できるだけ多くの品目をカバーした許可申請を行いたいと考えているわけです。
それが、取れる品目全部という要望になるのです。
結論から言えば、全ての品目の許可を取得することは、普通は現実的ではありません。
私は、ほぼ全ての品目に限りなく近い産廃業許可申請を代行したことはあります。
しかし、その状況は特殊でした。
産廃の品目すべてを網羅させようと思った場合、通常は、色々な問題に当たります。
思いつくものを二つ列挙してみます。
①具体的な事業計画を描けない
産業廃棄物処理業の許可を取得する場合、事業計画が必要になります。
収集運搬業であれば、どこで排出された廃棄物をどこで処分するのか。
建廃=建設系廃棄物など、どこでも排出される産業廃棄物もあります。
しかし、廃棄物の品目によっては、排出事業者が極めて制限される産業廃棄物もあります。
また、それを受け入れる処分場が存在するのかといった問題も出てきます。
「県内には石綿を処分できる最終処分場がない」という問題が出た場合、他県の許可も同時に取らないといけなくなることも。
②廃棄物の分析が必要になることがある
運搬する産業廃棄物によっては、申請先の自治体より、分析を求められることがあります。
サンプルを分析センターに持ち込んで分析するのですが、
産廃業許可申請に関係するのは、産業廃棄物が特別管理産業廃棄物でないかのチェックです。
廃酸、廃アルカリは、pHによっては腐食性廃酸、腐食性廃アルカリとして、特別管理産業廃棄物になります。
特管になってしまうと、もはや普通産廃の許可では取り扱えません。
同様に、特定有害物質濃度などの測定もして、分析センターの発行する分析書で、それが普通産廃の許可で運搬できることを、
申請の際に証明することが求められることがしばしばあるのです。
過去に、燃えた木を「燃え殻」として分析にかけたところ、まだ燃えきっておらず「木くず」だったということもありました。
①も、②も、許可を取得することは頑張ればできるでしょうが、それにはコストがかかることもあります。
そこは、当事務所へまずは相談してほしいのですが、廃棄物処理業許可も費用対効果の問題ですから、
高い費用をかけてまで、ろくに扱うこともない品目の許可を取得してもしょうがないこともあります。
常に、産廃処理業者の経営ベースで、アドバイスするように心がけています。
もちろん、それでも全ての品目を取得したいということであれば、私たちもそれに向けて努力します。
(河野)