産業廃棄物の処分は、複数の工程を組み合わせて行われます。

例えば、単純そうに思える破砕であったとしても、

二軸式破砕機と一軸式破砕機を使い分けたりしながら、

1次破砕後に、2次破砕を行うことがあります。

 

さらには、破砕後に、振動式のスクリーンや回転式トロンメルなどで、

選別・分級などの処理を行うこともあるでしょうし、

物によっては圧縮・梱包であったり、溶融であったり、

様々な処理方法の組み合わせによって、

廃棄物は最終的な目的物へと性状を変化させていきます。

 

この処理方法の組み合わせによって、

産業廃棄物は有価物へとその姿と価値を変えていくことになるのですが、

それでは一体、この工程のどこの段階で、廃棄物は有価物になるのでしょうか。

 

産業廃棄物をリサイクルする、という行為は、

廃棄物を有価物の方向に変化させる行為である、

と言い換えることが可能かと思います。

 

もちろん、中間処理によって、全てが廃棄物から有価物になるわけではありません。

食品残渣を焼却した灰は、引き続きなお産業廃棄物ですが、

少なくとも容積、腐敗や悪臭などを考慮すると、

性状としては有価物に接近したと言えます。

 

この中間処理の過程の中で、市場価値を有する製品を産み出すことができれば、

それが廃棄物リサイクルの理想なのです。

 

ところで、産業廃棄物の処理工程を見ていると、

ある段階に至った段階で、その産業廃棄物は有価物へと変化したと言えることがあります。

そうすると、その段階をもってその産業廃棄物は、

「廃棄物としての扱いを卒業した」

と考えることが可能になります。

 

その具体例を挙げてみます。

 

①がれき破砕のケース

がれきの破砕は中間処理ですが、

一次破砕後に出来上がるのは、

40ミリ以下の再生砕石(路盤材用等)だとします。

 

この再生砕石自体は、すでにリサイクル製品としての販売が可能です。

ところが、この再生砕石をさらに二次破砕にかけて、

10ミリ以下の再生砕石に加工するとします。

 

一次破砕が産業廃棄物の中間処理であることは、疑いようがありません。

それでは、この二次破砕は中間処理なのでしょうか?

 

この問題はなかなか現場では難しいのですが、

あくまで理論上、と割り切った上での話を進めていきます。

 

この場合、一次破砕を終了した時点で、再生砕石は市場で売却可能なリサイクル製品となっており、

すでに廃棄物ではなくなっている、と考えることができます。

 

では、二次破砕は何なのか。

この工程は、原料を加工して、より高額で取引される製品を製造しているもので、

産業廃棄物を処理しているものではない、ということです。

 

つまり、40ミリ以下の砕石になった段階でがれきは廃棄物を卒業し、

有価物になった。

二次破砕は40ミリ以下の有価物をさらに高く売却できる10ミリ以下に加工する、

製品加工業である、という風に考えていくわけです。

 

繰り返しにはなりますが、現実の問題では、

他に考慮しなければならない要因というものがいろいろあります。

しかし、あくまで理論上は、廃棄物は有価物になった段階で卒業し、

以降の工程は廃棄物処理ではなくなるのです。

 

②動物の糞尿の発酵・乾燥による堆肥化のケース

動物の糞尿は、産業廃棄物です。

この糞尿を他社から受け入れて堆肥化をするためには、

産業廃棄物中間処理業の許可が必要になります。

 

堆肥化には、大きく分けて2段階の工程があります。

前段で、糞尿を発酵させます。

後段で、切り返しをしながら堆肥を熟成させ、同時に水分を飛ばします。

 

こうすることで、良質な堆肥を製造することができるわけですが、

そもそも発酵が終わった段階で、糞尿は廃棄物を卒業したと言えるのでしょうか?

それとも、乾燥工程を含めて終了した時点で、廃棄物の卒業となるのでしょうか?

 

これがまたなかなかの難問です。

前段の発酵が終了した時点で、肥料取締法に基づく肥料登録は可能。

法的には、商品として売ることができるわけです。

 

そうすると、後段の乾燥過程というのは、

廃棄物を卒業した後の堆肥を乾燥してるわけで、

それは有価物としての堆肥原料をより高品質な商品に加工しているだけではないか。

製品加工業、と言えそうな気がしてきます。

 

何が問題なのかというと、後段の堆肥の乾燥工程が、

令7条に規定する汚泥の乾燥施設に該当すれば、

15条の施設設置許可が必要になってくる、というところです。

 

汚泥の乾燥施設は、天日乾燥とそれ以外ですそ切りの値が大きく違いますが、

例えば施設内で発生する熱をサーマルリサイクルして乾燥工程を早めているケースなど、

日量10㎥を超える汚泥の乾燥施設に該当してしまうケースがかなりあるんではないかと思います。

 

「いやいや、動物の糞尿の話をしているわけであって、汚泥の話をしているわけではない」

という声が聞こえてきそうですが、このケースはそう簡単ではありません。

私自身、これまでに何度もこの令7条と格闘してきました。

 

ということで、後段の工程が廃棄物処理に該当するならば、

手続きは非常に面倒になる可能性が出てくるわけで、

前段の発酵工程を終了した比較的含水率の高い「堆肥」を、

できれば有価物とみなしていただきたいわけです。

 

ところが、ここで問題になってくるのが、

現在の日本国内では、良質であろうが、堆肥自体なかなか買い手がつかない、という問題なのです。

良質でも売れない堆肥を、乾燥前の状態で廃棄物を卒業済みだ、ということは、

ちょっと無理ではないか、という考えも当然成立するわけです。

ここから先は、かの有名な「総合判断説」の出番です。

 

がれきのケースも、堆肥のケースも、どちらも難しく、有価性の判断や施設設置許可の要否には、

私も毎回悩まされています。

ただし、あくまでも理論的には、廃棄物を卒業した以降の処理工程は、

廃棄物の処理には当たらない、ということです。

 

(河野)