◆廃棄物処理施設技術管理者講習について(後編)◆

前回から、廃棄物処理施設技術管理者に関して記事を書いています。

前回は、
廃棄物処理施設技術管理者の資格を取得するには、資格のみ、資格と経験、または経験のみで取得する方法がある

しかし、資格者はなかなかいない。経験は証明が難しい

そこで、廃棄物処理施設技術管理者講習で資格を取得する方法がある
ということを書きました。
今回はその続編。

 

「基礎課程」と「管理課程」

廃棄物処理施設技術管理者講習には、「基礎課程」と「管理課程」があります。
技術管理者講習は、色々なコースがあるのですが(後で触れます)、
基本的に「基礎課程」が4日か6日で、「管理課程」が4日。
「管理課程」から受講するためには、資格・経験が必要です。

該当する資格や経験が無く、「基礎課程」と「管理課程」を併せて受講する場合、
8日か10日の間、朝から夕まで丸一日の講習を受講し続けることになります。

約2週間、毎日高校生のごとく教室で勉強し続けるというのは、なかなか辛いものです。

 

廃棄物処理施設技術管理士資格取得の高いハードル

廃棄物処理施設技術管理者講習を受講後、
修了試験に合格して得られる資格は「廃棄物処理施設技術管理士」という名称です。

廃棄物処理施設技術管理士の資格取得の前に立ちはだかる最大のハードル…

それは、平日に2週間、仕事を休んで講習会を受けることだと思います。

廃棄物処理施設技術管理士の資格を取得するべき人は、
社内でも管理職の地位にあることがほとんどだと思いますので、
2週間も仕事を空けるというのは、本当に大変です。

 

受講の時期を選ぶコツ

そこで、ちょっとした受講のコツがあります。

技術管理者講習を主催している日環センター(日本環境衛生センター)の方に聞いたのですが、
「基礎課程」と「管理課程」は同時に受講する必要はないとのこと。
例えば「基礎課程」を5月に受けて「管理課程」を10月に受けるということも可能なのです。

そうすると、2週間連続で仕事を抜ける必要はなく、
年に2回、1週間の講習を受ければいいということになります。

ただし、この方法では基礎課程受講から修了試験までの期間が数ヶ月空きますので、
記憶が遠くなって、修了試験不合格のリスクが上がるかもしれません。

 

廃棄物処理施設技術管理者講習の7つのコース

技術管理者講習には、以下の7つのコースがあります。

  • 破砕・リサイクル施設コース
  • ゴミ処理施設コース
  • し尿・汚泥再生処理施設コース
  • 産業廃棄物中間処理コース
  • 産業廃棄物焼却施設コース
  • 最終処分場コース
  • 有機性廃棄物資源化施設コース

仮に全て受講しようとすると、66日間かかるという大型の講習です。
大学の講義に換算すると、半期分以上あるかもしれません。
ところが、私が受講した際に他の受講者に聞いてみると、
全コース制覇を目指している方もいました。

 

修了試験の体験談

講習は、朝から夕方まで毎日連続でありますので、
社会人にとっては、本当に辛いです。

「基礎課程」は化学や物理にも関係する講義もあり、「管理課程」よりも難しいと思います。

しかしながら、私が受講した講義内容は非常に充実したものでした。
日環センターの方や、大学教授や行政庁の職員が講義をするのですが、
どれもためになる面白い内容でした。

私は、福岡会場で講習会を受講しました。
講習会の期間、2週間にわたって天神のホテル住まいだったのですが、
その間は毎日、白木原の日環センターを出て、西鉄電車で天神に戻り、
タリーズでコーヒーを飲みながら講義ノートを作りました。
翌朝は、早起きして天神のスタバでコーヒーを飲みながら、
昨夜作った講義ノートを読み返しました。

2週間に渡り、かなり真面目に勉強しまして、最終日の修了試験に臨んだわけです。

修了試験の情報は、Googleで検索してもほとんど見つけることができませんでした。

ただ、講義の日程が進んでいく中で、向かいの教室で「再試験」が行われ、
試験に落ちたらこうなるんだな、というのを思い知らされるわけです。
結果的に、私は無事に合格することができました。
しかし「講習を受ければ誰でも受かる」などという生易しい試験ではありませんでした。
合格率に関する情報は見たことがありませんが、
おそらく数人に一人の割合では落ちているものと思われます。
私自身、もしかしたら落ちるかも、と合格発表まで冷や冷やしていました。

 

廃棄物処理施設技術管理者講習を受講される方へ

もしも、これから技術管理者講習を受講されるという方がこの記事を読んでくれていましたら、
十分覚悟の上で講習に望まなければならない、と思っていただきたいです。

産業廃棄物処理業の「許可申請」に関する講習会とは、全く次元の違う試験です。
難関試験とまでは言いませんが、落ちる可能性が十分にある試験なので、
「講習を受ければ誰でも受かる」のような情報には惑わされないようにしましょう。

私は2日目の講義を聞いて「これはやばいな」と焦りました。
たまたま手元にパソコンを持っていましたので、毎日パソコンで講義ノートを作りました。
最終的に、修了試験までにA4で12~13枚のノートにして、
このノートを丸暗記して修了試験に合格しました。

教科書は分厚すぎて、しかも冊数も多く、
この教科書に付箋を貼り、線を引きながら勉強していくというのは、
どう考えても非効率です。
周りには、線と付箋で試験対策している方が多かったですが、
ノートにまとめてしまう方法が非常に効率的だと思いました。

少なくとも、暗記すべき点を全て正確に暗記していれば、試験には合格できます。
そして、暗記すべき点は、講義で必ず教えてくれます。
ただ、その量がとにかく膨大です。

講習・試験ともに、難しいのではなく、大変だということです。

非常にためになる講習でして、今振り返っても、受講して良かったなと思います。

(河野)