収集運搬品目の限定とは

収集運搬業許可には品目に限定が入ることがあります。

許可に限定はなるべく入らないことが望ましいのですが、

申請書の事業計画次第では限定が入ってしまいます。

今回は限定について解説し、

次回記事で限定を回避する方法についてお伝えいたします。

この記事の目次

  1. 収集運搬業許可証に記載される「限定」の意味
    収集運搬品目の限定とは何か?
    収集運搬品目限定の具体例
  2. 品目の限定は可能な限り回避すべき
  3. なぜ許可証に限定が入るのか?
    ①排出事業者の問題
    ②収集運搬の施設(車両・容器等)の問題
    ③処分業者の問題
  4. 品目の限定を回避する方法

 

収集運搬業許可証に記載される「限定」の意味

産業廃棄物収集運搬業の許可証を見ると、

ときどき品目に「限定」というものが入っています。

限定というと、凄く価値のあるものを思い浮かべる方もおられるかもしれませんが、

収集運搬業の許可品目の限定は、なるべく無い方がよいものなんです。

 

収集運搬品目の限定とは何か?

私が昔、自動二輪免許を取得したときに、免許証には「中型に限る」という文言が入ってました。

この免許証では、自動二輪の中でも中型に限ってしか乗れないということになります。

 

今の私の免許証を見ると、

「中型車は中型車(8t)に限る」という文言が入っています。

私の免許証は今でも限定付きでして、限定なしの免許証よりも運転できる種類が少ないことになるのです。

 

これとよく似た現象が、産業廃棄物収集運搬業でも起こります。

許可証には必ず産廃の品目が列挙されていますが、その品目に限定が付されているのです。

 

収集運搬品目限定の具体例

廃プラスチック類(廃タイヤに限る)、繊維くず(廃畳に限る)、

汚泥(有機汚泥に限る)

のように、品目の後に限定が書かれている場合、

それ以外の産廃は運搬することができません。

 

たとえば、廃プラスチック類の収集運搬業許可を有する場合、

その許可があれば、廃タイヤでも廃ペットボトルでも塩ビ管でも運搬することが可能です。

ところが、「廃タイヤに限る」という限定が入ると、

世に存在する廃プラスチック類のうち、ほとんどの廃プラスチック類は運搬できずに、

わずかに廃タイヤだけ運搬できるということなんです。

 

ペットボトルを運ぼうと思って廃プラスチック類の許可申請をしたのに、

発行された許可証には「廃タイヤに限る」という限定が入っていれば、

これはもう仕事になりません。

 

品目の限定は可能な限り回避すべき

上記のように、品目の限定という措置は、実務上とても厄介なものなのです。

ところが、適当に申請書を作って申請すると、

品目に限定が入ってしまっていた、

というケースを耳にすることがあります。

 

「なぜ許可証に限定が入ってしまうのか?」

について今回は説明し、

「限定を避けるにはどうしたらいいのか?」

の具体的な方法については次回の記事で書いてみたいと思います。

 

大抵の品目の限定は申請書の作成の仕方で避けられるのに、

それを知らずに品目に限定を入れてしまうのは、非常にもったいないことです。

 

なぜ許可証に限定が入るのか?

許可証に限定が入ってしまうのは、いろんな事情がありますが、

主に、排出事業者の問題、施設の問題、処分場の問題がありえます。

 

①排出事業者の問題

作成した事業計画のうち排出事業者が、品目のうち特殊なものしか排出しないことがあります。

 

例えば、排出事業者にタイヤの小売店を記載するとします。

タイヤの小売店では、タイヤの販売後にユーザーの車にタイヤの取付までを行います。

その際に、外した古いタイヤは小売店が処分しなければなりません。

 

そんなタイヤの小売店を排出事業者とする事業計画を持って申請に行くと、

申請先の窓口でこう聞かれます。

「排出事業者さんから排出される廃プラスチック類って、どんなものですか?」

 

そこで「廃タイヤだけです」と答えると、

この申請により発行される許可証には、高い確率で廃プラスチック類にタイヤの限定が入ります。

 

それで、問題なければ、限定が入っても構いません。

タイヤを運搬する事業計画を出して、タイヤを運搬できる許可が出たのですから。

 

ところが、多くの産廃業許可者は、

タイヤも運搬したいが、塩ビ管も運搬したいと考えているわけです。

排出事業者の例として挙げただけのタイヤ屋のせいで、

塩ビ管もペットボトルも運搬できなくなったというのは困るわけです。

 

②収集運搬の施設(車両・容器等)の問題

例えば、オフィスに備品を納入している会社があるとします。

蛍光灯が切れかけている場合、依頼を受けて新しい蛍光灯を持って行きますが、

帰りに古い蛍光灯を廃棄物として持って帰りたいとします。

 

蛍光灯は、ガラスくず・金属くずの許可が必要です。

ガラスくず・金属くずの許可申請をすることになるのですが、

この会社は乗用車しか持っていなかったとしましょう。

 

蛍光灯を数本積むには乗用車で十分ですが、

運搬車両が乗用車ということで、蛍光灯以外は運ばせないという判断を請ける可能性があります。

この場合、

「ガラスくず(蛍光灯に限る)・金属くず(蛍光灯に限る)」

という限定が許可証に入るかもしれません。

 

③処分業者の問題

産廃の処分場の中には、特定のものしか処分できないという施設があります。

たとえば廃畳専用の処分施設があるとします。

この場合、処分業の許可証は「繊維くず(廃畳に限る)」という限定が入ります。

 

私がこれまで述べてきたのは収集運搬業の限定の話で、

なぜ突如、処分業の限定の話になるんだ?

と疑問に思われた方もいるかもしれません。

が、大いに関係があるのです。

 

収集運搬業の許可申請書に添付する事業計画書には、

排出事業者と並んで処分業者を記載します。

処分業者=中間処理場等、ということです。

 

その中間処理場の処分業許可証に廃畳のみの限定が入っているとしたら、

収集運搬業の許可を取得して、そこの処分場に持ち込んでも廃畳しか処理できないわけです。

そうなると、申請した収集運搬業の許可証にまで、

処分業の許可証に記載された「限定」が乗り移ってくるということになります。

 

品目の限定を回避する方法

次回、限定を避けるための方法に関して書いてみます。

特に、自分で申請書を作られる方は、後々の事業に関わることですから、

「限定」には十分注意してください。

 

次回記事↓

収集運搬品目の限定を回避する方法

(河野)