優良認定・更新・変更届・産業廃棄物処理実績の報告
産業廃棄物収集運搬業の許可を取得した業者は、許可を取得しさえすれば、
以後の手続きは不要かと言えば、そうではありません。
許可を維持していくために、以後も継続的に手続きをしていかなければなりません。
今日は、産業廃棄物収集運搬業者が許可を取得した後、
どのような手続きを求められることになるのかについて、記事を書いてみます。
この記事の目次 |
産業廃棄物収集運搬業許可の有効期限
許可の有効期限は永遠ではなく、5年または7年ごとに更新が必要
新規で産業廃棄物収集運搬業の許可を取得した企業は、許可の証明をする書面として、
産業廃棄物収集運搬業許可証を受け取ることになります。
この許可証には、2つの日付が記載されています。
ひとつは、許可の年月日。
もう一つが許可の有効年月日。
この許可の年月日から許可の有効年月日までの期間が、
産業廃棄物収集運搬業の許可を与えられている期間ということになります。
優良認定は許可期限が7年に伸長
有効期間には、5年の場合と7年の場合とがあります。
原則として、産業廃棄物収集運搬業の許可は5年です。
しかし、運転免許と同じで、優良業者には許可期間を7年に伸長するという取り扱いになっています。
許可期間に関しては、以下の理由で長い方がコスト面では有利です。
- 更新許可申請時にかかる手数料(東京都以外の普通産廃で73000円)を年割すると年間4千円ちょっと安い
- 許可申請書作成のために行政書士に依頼したり内部で作成するためのコストが5÷7(%)で28%ほど(理論上)安い
優良認定による経費削減と優良認定そのものにかかる経費
しかし、許可期間を7年にするためには、管轄の自治体から優良認定を受けるという必要があります。
この優良認定を取得するために、結構なコストがかかってしまい、
結局のところ、優良認定業者も上記1,2のメリット以上に費用が掛かってしまっているケースが多いと思います。
一社でよほどの許可数がある場合でないと、優良認定からのコスト削減のメリットは受けにくい。
ただし、優良認定を受けること(許可証に「優良」と記載)そのことや、
それまでの過程(ISOや電子マニフェストなど)に価値があり、
結果として優良認定の条件を満たしているので優良認定を受けるということであれば、
コスト削減の恩恵を受けることも可能かと思います。
更新許可申請と講習会
少し長くなりましたが、収集運搬業の許可は原則5年に1回の更新が必要になるということです。
許可を取得しっぱなしでは5年で許可は失効してしまいます。
5年毎に、更新許可申請が必要になるのです。
更新に先立って、許可申請に関する講習会を受講しなければなりません。
新規の許可申請の際にも、講習会を受講したものと思われますが、
更新時には改めて講習会の受講が求められます。
講習会に関しては、「更新」の講習会に限らず、「新規」の講習会でも構いません。
また、いつ講習を受講しなければならないかという問題もあります。
これに関しては、過去に記事を書いていますので、そちらに譲ります。
変更届の提出が必要となる場合
産業廃棄物収集運搬業の許可を持っている業者は、
5年おきに更新の許可申請をすればそれだけでいいのかというと、
実はそれだけでも足りません。
変更事項が発生した場合には、その都度「変更届」という書類を出す必要があります。
変更届は、以下のような事象が発生する場合に、提出する必要があります
- 役員の変更
- 本店の移転
- 駐車場の変更
- 車両の増車減車
他にも色々あるかと思いますが、特に車両の増車減車というのが、件数的にも多いと思います。
収集運搬車両が100台を超えるような会社の場合、常に増車・減車を繰り返していると思います。
その度に車両の入れ替えの変更届を出しますので、許可件数が多いとかなりの負担になります。
変更届の提出期限は10日以内? 30日以内?
変更届をいつまでに出せばいいのか、ということですが、
この取り扱いが最近変更になりましたので、それについて少し説明をします。
かつては変更届は変更事由の発生日から10日以内に提出しなければならないものでした。
車両を入れ替えてから10日以内、駐車場を変更してから10日以内ということであれば、
特段問題が発生することはなかったのですが、
役員変更等の商業登記を前提とする手続きに関しては、10日以内の変更届の提出はほぼ不可能に近いものでした。
例えば、8月1日に株主総会を開催し、代表取締役をAからBに変更しました。
8月1日から10日以内に変更届を出さなければならないことになります。
ところが、この変更届には、役員変更済みの会社の登記事項証明書の添付が必要です。
株主総会後に役員変更登記の申請をして、登記が完了するまでに1週間くらいかかるものです。
すると、10日以内に変更届を提出するのは大変難しい、ということになってしまいます。
最近、変更登記後の登記事項証明書の添付を求められる変更届に関しては、
変更の日から30日以内の提出でいいというように、期間が緩和されました。
その結果、変更届には、10日以内のものと30日以内のものが併存しているという複雑なものになってしまいました。
年に1度の産業廃棄物処理実績の報告の書き方
許可業者に求められる手続きの最後に、産業廃棄物処理実績の報告についてふれておきます。
これは、都道府県等が収集運搬業者等に対して、年に1回収集運搬量等の実績の報告を求めるものです。
「どのように書いたらいいのか?」
という質問を受けることがありますが、
「マニフェストの控えを見てその通りに書いてください」
とお答えしています。
(河野)