産業廃棄物の処分場を経営する会社の方とお会いする機会がとても多い私です。
許可申請やコンプライアンスのことだけではなく、
純粋に経営についてのお話をさせていただくこともあります。
中間処理場の経営に関して、2つのスタイルがあるのかなと感じています。
廃棄物の処分費には、リサイクルや埋立にかかる費用(狭義の処分費)と、
処分場まで運ぶ運搬コストに分かれます。
リサイクル費用低減に特化した経営スタイルと、運搬費低減に特化した経営スタイルがあります。
ちょっと分かりにくいんですが、産廃の処分業は民間企業により商売として行われてますから、
優れたサービスをより安い価格で提供しなければなりません。
しかし、ただ安いだけで、環境負荷の高い処分がなされていたり、
コストのために不法投棄されることは許されません。
そのために、産業廃棄物処分業の許可制度があり、行政により業者の管理がなされています。
排出事業者が、運送コストの削減を行うには、近所の処分場に持ち込むのが一番です。
そこから、①「地域密着型処分場」の需要が出てきます。
この地域密着型の処分場の場合、何でも引き取れることが大事になります。
たとえば、建設工事現場から排出された金属くず、廃プラスチック類、がれき類があるとします。
金属くずと廃プラスチック類は引き取れるけれども、がれき類は引き取れない処分場が近所にあったとしても、
持ち込みしてもがれき類は取ってもらえない。
しかたなく、がれき類のみ別の処分場に持ち込むしかないです。
結果的に、運送コストがかさんでしまいます。
受け入れ品目の少ない地域密着型処分場は、排出事業者や収集運搬業者のニーズをくみ取れていないことになります。
産業廃棄物の処分費の削減には、もう一つの方法があります。
それが、リサイクル費用低減のための②「専門特化型処分場」という経営スタイルが出てきます。
この専門特化型処分場は、ある特定の廃棄物のみを処理できる施設や技術、そして販路を保有しています。
たとえば、蛍光灯処分に専門特化していたり、畳に専門特化していたり、タイヤに専門特化していたり。
特定の廃棄物のみが、かなり広範な地域から収集されます。
県をまたぎ、何百キロも産業廃棄物が旅をします。
また、地域密着型処分場に集められた廃棄物は、専門特化が他処分場で処理をされます。
地域密着型処分場と、専門特化型処分場。
私は、後者の専門特化型処分場に、大きなビジネスチャンスがあるのではないかとみています。
特定の廃棄物のみを、特殊な施設や技術で処理し、
リサイクル率を高めることで処分費を低廉にでき、処分業者としての競争優位が生まれます。
世の中には、処理に困っている産業廃棄物がまだまだたくさんあると思います。
これらに専門特化して、新技術で対応できれば、
新たな環境ビジネスは今後も生まれ続けるのだろうと、私は感じています。
(河野)