産業廃棄物処理業許可申請の見積もりに関して、とても難しい問題を抱えています。
もちろん、これまでにかなり多くの業務を日本中からご依頼いただいている分野です。
しかし、見積もりの度に、ご説明に悩みます。
多くの場合、積替保管を行わない収集運搬業の見積もりであれば、事前にきちんとほぼ正確な金額を見積もりできます。
しかし、積替保管を含む収集運搬業許可申請や、処分業の許可申請に関しては、
事前になかなか正確な金額が見積もりできません。
なぜ、こうなってしまうのか?、について、今日は少々書いてみます。
積替保管を含まない産業廃棄物収集運搬業許可申請であれば、
当事務所は年間数百単位の申請を行っています。
この場合も、案件ごとに手続きにかかる労力や時間はまちまちです。
本来であれば、この手間や労力ごとに個別の見積もりをするのがよいのかもしれませんが、
許可申請を依頼していただくお客様の立場からすれば、
うちでかかる手間なんてどうでもよく、
ただ単に営業に必要な産廃業許可を取得できればよい、と思うことでしょう。
「分かりやすさ」を優先して、一律料金でご案内しております。
ところが、積替保管施設を設置するとなると、収集運搬業許可申請は、管轄の役所ごとに大きく手続きが変わります。
事前協議が必要になったり、近隣住民の同意が必要になったり、
県の許可なのに市長(政令市ではない)の承認が必要になったり、
地域住民への説明会の開催が要求されたり。
積替保管の手続きは、本当に自治体によって難易度がバラバラなんです。
普通の産業廃棄物収集運搬業許可申請書に積替保管施設の図面を添付するだけで許可申請できる自治体もあります。
かかる期間も大きく変わります。
当事務所の実際の実績で、過去最短は、新規許可申請で2週間で積替保管の許可が出てます。
逆に、長い案件では1年越し。
もちろん、手間が大幅に違います。
これらを同じ金額での見積もりをするのは、さすがに不公平感があります。
当事務所では、事前に役所に積替保管の手続き内容を確認して、
どのくらいの期間と手間がかかるかをなるべく正確に把握してから見積もりをお出ししています。
さらにもう一つの問題。
積替保管施設の設置自体がほとんどない役所では、手続きの流れがどうなるのか、
役所の担当者自身が把握できていない、ということもあります。
処分業の新規許可なんかもそうですが、
私たち行政書士が手続きの流れを把握できていないのと同じように、
役所の担当者も手続きの流れを把握していない。
特殊な許認可申請では、意外とよくある話です。
行政書士と役所の担当者の共同作業で、許可申請を作り上げていくような感覚です。
そういったケースでは、当然事前の見積もりで正確な金額を出すことはできません。
ただし、当事務所では、見積もりなしに業務をお請けした後に、請求書を出すことはしていません。
上記のような特殊なケースでも、事前にやるべき手続き内容を役所の担当者と確認したうえで、
都度、業務内容に合わせて見積もりをしています。
「積替保管の許可はいくらかかるのか?」
「処分業許可はいくらかかるのか?」
という質問に、当事務所としては、なかなか即答できない理由を説明しました。
(河野)