ある産廃関係の業界紙を読んでいると、そこに行政処分の情報が上がっています。

許可取消や事業停止命令の実例が、

会社の実名付きで行政処分の例として業界紙に掲載されています。

それを読むと、気づくことがあります。

これは、芋づる式の行政処分だな、と。

 

今回、目についた例は、こんな行政処分例でした。

とある関東に産業廃棄物破砕処理施設を有する会社。

廃掃法違反を問われ、

そこの処理施設に産廃を持ち込んで処分を依頼した企業が

次々と処分を受けたようです。

 

限られた情報から推測すると、

今回の処分場は、産業廃棄物処分業の許可を有していなかったようです。

処分業の許可を有しない処分施設だったようで、

破砕の施設設置許可は有していました。

施設設置許可を有して、処分業許可はないということは、

その破砕処理施設では、業としての中間処理はできないということになります。

 

こんな破砕施設がいったい何の役に立つのか、

と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、

実は施設設置許可さえあれば、自社で排出した産廃に関しては、

処分が可能です。

この関東の会社は、自社で出した産廃のみを処分することが可能な許可を有していたのでしょう。

 

そして、この破砕施設で自社の産廃を破砕していたのでしょうが、

折角なので他社の産業廃棄物も受け入れてしまおう、

という話になったはずです。

こうなると、施設設置許可だけで中間処理業を営んでいることになります。

すなわち、無許可営業。

 

今回の行政処分例なんですが、

無許可業者に処理を委託していた収集運搬業者が、

一斉に行政処分を受けています。

一方、一番悪いことをしたであろう処理業者に関しては、

実は行政処分は下りてません。

 

芋づる式に行政処分を受けた業者は、

今回11社。

この収集運搬業者は、処分場が無許可営業であることを知っていたものと思われます。

委託契約時に処分業の許可証を確認しますし、

それが出せなければ、産廃の処理の委託なんて恐ろしくてできません。

万一、不法投棄をなされていたら、廃掃法上、排出事業者の責任を問われるわけですから。

 

最低でも、なにやら怪しげな処分場であるな、とは感じていた。

おそらくは、無許可営業であることを知っていたけれども、

この処分場に処理を委託したことになります。

 

なぜ、こんな危険な処分場に産業廃棄物の処理を委託するのか、といえば、

おそらく、値段しかないと思います。

処分費が安いから、収集運搬業者または排出事業者の利益が大きくなる。

無許可処分場を経営する会社が、自社で排出したことにして、

他社の廃棄物を処分していくことで、ヤミ処分業が営まれていたものと思われます。

 

行政処分を受けた業者が11社もあるということは、

おそらく地域ではそれなりに有名な業者だったと思います。

処分費の安さだけに釣られてしまうと、

会社経営に大きなリスクを生む可能性があります。

 

なぜ、無許可営業をした処分業者が行政処分を受けていないのかと言うと、

ある方法により、行政処分を受けずに済むことになります。

行政処分を受けなくても、営業できなくはなりますが。

 

(河野)