15条施設と施設設置許可

「中間処理業の許可を取得したい」

というご相談をいただいたときに、

私たち行政書士が真っ先に考えることのひとつが、

「15条施設」かどうか。

 

15条施設に該当するかしないかによって、許可取得までの手続きが大きく異なってきます。

今回は、15条施設と許可申請についての簡単な解説をします。

なお、15条施設の産廃処分業は、数ある行政書士の仕事の中でも最も難易度の高いもののひとつです。

時間もかかりますし、諸々費用もかかります。

手続はかなり大掛かりで、軽い気持ちで始められる事業ではありません。

 

この記事の目次

  1. 処分業許可と施設設置許可の2つの許可がある
  2. 処分業の前提として必要になるかもしれない施設設置許可
  3. 15条施設とは
  4. 15条施設に該当するかの具体的判断例
  5. 15条施設に該当すると施設設置許可が必要
  6. 15条施設に該当しない場合の処分業許可申請の流れ
  7. 15条施設に該当する場合の処分業許可申請の流れ

 

処分業許可と施設設置許可の2つの許可がある

産業廃棄物の中間処理業を営むには、処分業の許可を取得する必要があります。

産業廃棄物収集運搬業であれば、収集運搬業の許可を取得すれば、

収集運搬業を営むことが可能です。

 

ところが、中間処理業には、処分業許可以外にもう一つの許可が登場してきます。

これが、施設設置許可。

中間処理業には、2枚の許可証があるのです。

一枚は処分業許可、もう一枚は施設設置許可。

 

処分業の前提として必要になるかもしれない施設設置許可

産業廃棄物処分業の許可を取得するためには、処分施設を持っていないといけません。

処分施設とは、破砕施設だったり、焼却施設だったり、脱水施設だったり。

これらの処分施設を設置する前提として、施設の設置許可が必要になるかもしれません。

 

少々、歯切れの悪い書き方になりました。

処分施設には、施設設置許可が必要な施設と、施設設置許可が不要な施設があるのです。

 

もし、施設設置許可が必要でなければ、処分業の許可を取得するだけで、

中間処理業ができます。

しかし、施設設置許可が必要であれば、まずは廃棄物処理施設の設置許可申請をして、

施設設置許可を受けた上で、処分業許可が必要になります。

 

では、どういう場合に施設設置許可が必要になるのか。

それについて解説を続けましょう。

 

15条施設とは

施設設置許可の要否の判断は、すなわち15条施設に該当するかどうか、ということになります。

15条施設であれば施設設置許可が必要であり、そうでなければ不要なのです。

 

では、廃掃法第15条を読めば、どのような施設が15条施設にあたるのかを書いているかというと、

残念ながらここには具体的には書いていません。

廃掃法施行令の第7条で決められています。

処理施設の分類 規模 備考
第1号 汚泥の脱水施設 処理能力10㎥/日を超える
第2号 汚泥の乾燥施設 天日乾燥以外 処理能力10㎥/日を超える
天日乾燥 処理能力100㎥/日を超える
第3号 汚泥の焼却施設 次のいずれかに該当するもの
イ)処理能力5㎥/日を超える
ロ)処理能力200㎏/h以上
ハ)火格子面積2㎡以上
PCB汚染物及びPCB処理物であるものを除く
第4号 廃油の油水分離施設 処理能力10㎥/日を超える 海洋汚染防止法第3条第14号の廃油処理施設を除く
第5号 廃油の焼却施設 次のいずれかに該当するもの
イ)処理能力1㎥/日を超える
ロ)処理能力200㎏/h以上
ハ)火格子面積2㎡以上
・海洋汚染防止法第3条第14号の廃油処理施設を除く
・廃PCB等を除く
第6号 廃酸・廃アルカリの中和施設 処理能力50㎥/日を超える
第7号 廃プラスチック類の破砕施設 処理能力5t/日を超える
第8号 廃プラスチック類の焼却施設 次のいずれかに該当するもの
イ)処理能力100㎏/日以上
ロ)火格子面積2㎡以上
PCB汚染物及びPCB処理物であるものを除く
第8号の2 木くず又はがれき類の破砕施設 処理能力5t/日を超える
第9号 金属等※又はダイオキシン類を含む汚泥のコンクリート固型化施設 すべての施設
第10号 水銀又はその化合物を含む汚泥のばい焼施設 すべての施設
第11号 汚泥、廃酸又は廃アルカリに含まれるシアン化合物の分解施設 すべての施設
第11号の2 廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設 すべての施設
第12号 廃PCB等、PCB汚染物又はPCB処理物の焼却施設 すべての施設
第12号の2 廃PCB等又はPCB処理物の分解施設 すべての施設
第13号 PCB汚染物又はPCB処理物の洗浄施設又は分離施設 すべての施設
第13号の2 上記第3号、第5号、第8号、第12号以外の焼却施設 次のいずれかに該当するもの
イ)処理能力200㎏/h以上
ロ)火格子面積2㎡以上
第14号 イ)遮断型最終処分場 すべての施設
ロ)安定型最終処分場 すべての施設
(水面埋立地を除く)
ハ)管理型最終処分場 すべての施設

※令別表第3の3に掲げる物質

 

15条施設に該当するかの具体的判断例

がれきの破砕施設を想定してみましょう。

 

仮に、破砕機の能力が1時間当たり0.5tであったとします。

すると、この破砕機を1日8時間稼働させることで、

4トンのがれきを破砕することができます。

 

上の表の第8号の2を見てみると、がれきの破砕施設は1日5tを超える場合に15条施設に当たります。

今回の破砕機の1日の処分量は4トンなので、15条施設ではないということになります。

 

もしも、破砕機が1時間に0.7tであったとすれば、

1日8時間稼働で5.6tの処分量ですので、

上の表の第8号の2に定める5tを超えて、15条施設に該当するということになります。

 

15条施設に該当すると施設設置許可が必要

15条施設に該当する場合、施設設置許可が必要になります。

気を付けていただきたいのが、自社物のみを処分する施設であっても、

施設設置許可は必要です。

 

自社物を収集運搬する際には、収集運搬業の許可は必要ありません。

自社物を処分する際にも、処分業の許可は必要ありません。

しかし、15条施設を設置するに当たっては、

自社物の処分のためであろうとも施設設置許可が必要になります。

 

15条施設に該当しない場合の処分業許可申請の流れ

15条施設でなければ、処分業の許可申請をすることになります。

多くの場合、自治体に事前協議を出すことになると思います。

事前協議に当たって、近隣住民への説明会が必要になる場合もあるかと思います。

 

15条施設に該当する場合の処分業許可申請の流れ

15条施設であれば、処分業の許可申請に先立って、

施設設置許可申請をする必要があります。

 

手続が2段階になるだけでなく、施設設置許可に当たって非常に面倒なことを要求されることがあります。

ひとつは、都市計画区域内における建築基準法51条但書の許可。

この許可は、都市計画審議会(都計審)を通さなければなりません。

期間もかかります。

 

そしてもうひとつが、生活環境影響調査。

処分施設設置による環境負荷を測定するもので、ミニアセスと呼ばれています。

こちらは、専門のアセスメント業者に依頼をしますので、

費用がかなりかかってきます。

 

小規模の処分施設であれば、

15条施設に該当しない能力(がれきの破砕なら5t以下)の機械を導入することで、

建築基準法51条の許可や生活環境影響調査を回避することが可能になります。

 

 

(河野)