カッター汚泥の収集運搬と回収済み汚泥の仮置き(積替保管)
※本記事は、2016年6月14日の記事を最新情報を基に2017年3月22日に更新したものです
ここ数年、特に数多くの相談が寄せられた案件。
それが、カッター廃液(汚泥)の仮置き(積替保管)の許可申請。
アスファルト舗装を切断する工事をする際に、汚水(汚泥)が廃液として排出されます。
以前は、多くの現場で「側溝に垂れ流し」の状態にありましたが、
そのアルカリ性と特定有害物質を含有している可能性が指摘され、
現在では産業廃棄物として回収し、適正処理が義務付けられています。
今回の記事では、アスファルトカッター汚泥を取り扱う業者向けに、
カッター汚泥の効率的な処理方法である積替保管に関して記事にします。
この記事の目次 |
カッター汚泥は産業廃棄物なのか?
カッター廃液とは、アスファルトカッター工事等から出てくる排水です。
アスファルトにカッターを当てる際に使用する水は、
性質の変化をもたらします。
この排水、汚泥であり、
またなかなかの強アルカリ(特管に近いpHに上がります)なのです。
産廃の品目で言えば、汚泥・廃アルカリです。
また、特定有害物質の含有の指摘も受けています。
カッター汚泥の垂れ流しは廃掃法違反
このカッター廃液に関する積替保管の相談が、
最近、日本全国から何件も当事務所にかかってきました。
なぜ、急にカッター廃液の積替え保管のニーズが増えたのか…
実は、カッター廃液が産廃として注目されだしたのは、10年くらい前にさかのぼります。
私の知る限り、かつての実務上のカッター廃液の処理は大変いい加減でした。
カッター廃液の汚泥と汚水を分離させ、
汚水部分を垂れ流すというようなことをしている業者が多かったのです。
汚泥部分は、確かに産廃に見えます。
しかし、汚水部分は水に見えなくもないです。
ところが、前述のように、この汚水はアルカリ性が強く、産業廃棄物なのです。
現在では、行政からカッター汚泥を産業廃棄物として取り扱うようにという通知が出され、
掃除機やスポンジでの回収が義務付けられています。
もちろん、回収してきたカッター汚泥は産業廃棄物として適正処理しなければなりません。
カッター汚泥が産廃であることの認知の遅れ
5年ほど前まで、都道府県の産廃業許可申請窓口に行っても、
「カッター廃液は汚泥だ」とおっしゃる方が結構いました。
私が廃アルカリだ、と説明してもなかなか理解してもらえず、
行政が公表している「カッター汚泥の適正処理のお願い」のWEBサイトをプリントアウトして、
申請に持ち歩いていました。
最近は、カッター廃液が廃アルカリであることは、周知されてきたように感じます。
公共工事の仕様書などでも、カッター汚泥の適正処理を求める文言があります。
カッター廃液を毎回処分場に運搬なんてやってられない
このカッター廃液の適正処理が、
現状の多くのカッター工事業者の課題になっているように私には感じます。
回収した廃液を、処理のために処分場に直行する、というのが収集運搬業の建前です。
しかし、現実問題として、毎回処分場に直行なんて、やってられない。
そうなると、自社に容器を設置して、カッター廃液を仮置き=積替保管しておき、
一定量が溜まった段階で自社で処分場に持ち込むなり、収集運搬業者に回収を依頼するなり、が現実的です。
カッター廃液の一時保管は許可を受けなければ違法行為
カッター工事によって発生したカッター廃液を自社の容器に保管し、
一定量が貯まった段階で収集運搬業者に回収にきてもらう行為は、
無許可での積替保管行為に該当し、違法です。
では、どうすればいいのか。
積替保管を含む収集運搬業許可を取得することで、大手を振ってカッター廃液の保管が可能になります。
これまでのカッター廃液処理はよくないけれども、カッター廃液処理と積替保管の手続きが結びつかず、
違法保管をしてしまっているカッター工事業者がとても多いのではないでしょうか?
カッター工事業者とコンプライアンス
この場合、積替保管を含む収集運搬業許可が必要になります。
ここ数年でたくさんの企業から相談を受けたことですので、
皆さん、カッター廃液の適正処理、コンプライアンスと、制度やコストの面での板挟みになっているのではないでしょうか。
これまでのカッター廃液の流れからして、カッター廃液に対する規制は今後も厳しくなる一方だと思います。
ぜひ、積替保管の許可を取得して、カッター廃液を適正に取り扱っていただきたいと思ってます。
(河野)