愛知県の中間処理業者が、廃棄物である食品を横流しして廃掃法違反に問われる全国ニュースが流れています。

私も事情を詳細に把握できているわけではありませんが、

中間処理業者が一次マニフェストを偽造したものと思われます。

 

おそらく世間では、「ゴミを食品販売ルートに乗せたこと」が問題にされると思います。

しかし、廃掃法の趣旨は、消費者の健康被害防止ではありません。

廃掃法で問題にできるのは、廃棄物の適正処理がなされなかったこと。

なので、世論の感情と処罰する法律の趣旨にブレが出てくることになるでしょう。

 

今回の冷凍カツを食品卸売業者に販売したのではなく、豚のエサとして販売したとすれば、

世間の感情はここまで刺激されなかったと思います。

人間の食品になっても、豚のエサになっても、廃掃法違反になんの差もありません。

食品衛生法ではなく、廃掃法=「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」違反です。

廃掃法では、残念ながら国民の健康は守れないでしょう。

 

愛知県の中間処理業者は、適正な処理をしたと偽ったマニフェストを排出事業者であるCoCo壱番屋に出しているはずです。

実際になされていない廃棄物処理を、実際に処理をしたかのように記載している。

今回の事件の違法性は、少なくとも廃掃法の観点で見ると、書類内容の虚偽だと思います。

こうして記述すると、とても軽い犯罪のように思えますが、

もしもマニフェストの記述が信用できないような社会になれば、

廃棄物の適正処理を担保するシステムがなくなってしまいます。

ですので、マニフェストの虚偽記載は、措置命令や重い罰則があるのです。

 

今回の横流し事件で私が一番気になっていること。

CoCo壱番屋は、責任追及されないのだろうか?

ニュースを見たほとんどの人にとって、CoCo壱番屋は被害者のように写っているでしょう。

機械部品の欠片の僅かな混入により、大量の自社製品を廃棄する判断を選んだリスク管理は、

企業としては完璧なものだったでしょう。

CoCo壱番屋の知らないところで不正が行われており、マニュフェストに虚偽があるなんて考えないでしょう。

しかし、廃掃法違反は、廃棄物の排出事業者(この場合CoCo壱番屋)に処理責任を課しています。

マニフェストが虚偽であったからといって、CoCo壱番屋の責任が消えることはないでしょう。

 

排出事業者は、収集運搬業者、中間処理業者がきちんと廃棄物を適正処理しているのかを自社でもチェックする必要があります。

処理代金だけで処理業者を選別していると、大事になってしまうことも。

ISO14000やエコアクション、優良認定などを処分業者選別の要件にしたり、

頻繁に自社の廃棄物の処理のされ方を中間処理場に見学に行くなどして、

リスク管理を徹底させる必要があるでしょう。

少なくとも、僅かな部品混入の可能性で大量のカツを廃棄するほど高いリスク管理をしていた

CoCo壱番屋のような企業でしたら、廃棄物業者選定や契約の段階で、

なにか有効な対策があったような気がして残念でなりません。

 

(河野)