技術士の鎌田です。
4回目のコラムは「大気汚染」の中でも「粉じん」について、話してみたいと思います。
粉じんというと、皆さんは「ほこり」、「ちり」、「排ガス」等々を思い浮かべるでしょう。
もともとこの粉じんについて、健康への影響を考えるようになったのは、鉱山などの作業員が作業中に発生する粉じんを吸入し、肺にじん肺と言われる疾病を発病したことに始まります。
今では日本に鉱山はほとんどなくなったため、現在では、物の燃焼などによって直接排出されるものと、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、揮発性有機化合物(VOC)等のガス状大気汚染物質が、大気中で化学反応し粒子化したものがあります。発生源としては、ボイラー、焼却炉等のばい煙発生施設や自動車、船舶、航空機等から発生する人為的な起源のもの、また、土壌、海洋、火山等の自然起源のものがあります。

一口に粉じんと言っても、環境に漂う粉じん粒子が空気とともに吸引される時は、右図に示すように、その粒径によって人体の異なる場所に沈着することが知られています。

空気中に漂う粉じんには、その粒径に応じて沈降速度があり、10μm以上の粒子は、その発生源の近くに降下します。これを考慮し、大気中の粉じんを「0.1~10μm」及び「10μm以上」の2つに区分し、前者を「浮遊粒子状物質」といい、後者を「降下ばいじん」として扱うことが多いです。
降下ばいじんについては、農作物や地上等にある様々な物の上に降下した場合、特にそれらの粒子に有害ガス、酸性物質等が吸着しているような時は大きな被害につながることがあります。
一方、人体に吸入され粒径によって様々な場所に沈着した粉じんは、呼吸器障害等への影響となって現れます。

次にこれらの粉じんの測定ですが、10μm以上の降下ばいじんは、ダストジャーと呼ばれる器を適宜、地上に設置し、一定期間放置し、ダストジャー内部に降下堆積した粉じんの質量を計測します。
また、0.1~10μmの粉じんは、通常はサンプラーを用いて、対象とする大気を吸引し、フィルタによって粉じんをろ過捕集し、捕集前後の質量の差から粉じん量を求め、吸引量で割り算し、質量濃度を求めることが一般的です。
濃度が比較的高い場合には、ロウボリウムエアサンプラーを用い、環境が比較的清浄で濃度が低い場合は24時間の採取が基準であり、吸引流量が500ℓ/min以上のハイボリウムエアサンプラーを用います。

測定法には、このような重量濃度測定法ともう一つ相対濃度測定法というものがあります。
環境基準で定められている1時間値の測定は重量濃度測定法では難しいため、粒子の散乱光の量が粉じん量に比例するという性質を利用し、まずはデジタル粉じん計等でその散乱光の量を測定し、別に重量濃度測定法で測定した値と比較し、質量濃度換算係数を求め粉じん濃度を算出する方法です。
大気環境基準のうちの1つの項目である「浮遊粒子状物質」は粒径が10μm以下の粒子を対象としているのに対して、屋内の粉じんが発生するような事業場での作業環境測定基準は、より呼吸器内部に沈着する7.07μm以下の粒子を対象としています。
また、近年では、大気中に浮遊している2.5μm以下の微小粒子状物質(PM2.5)が、非常に小さいことから、肺の奥深くまで入りやすく、呼吸器系への影響に加え、循環器系への影響も問題視されており、環境基準が別に定められています。

このように、一口に「粉じん」と言っても、実に様々です。
環境基準を目標値として測定する場合は、浮遊粒子状物質やPM2.5を測定し、作業環境上の粉じんを対象とする場合は7.07μm以下の粉じん濃度を測定する必要があります。

鎌田