昨年(2017年)の10月に、アスファルトカッター廃液の収集運搬の品目に、
廃アルカリの許可が不要と判断された例を記事にしました。
今回もカッター廃液に関する記事を記載しますが、
繰り返しカッター廃液に関してこのブログで記述するその理由は、
カッター廃液の適正処理に関する社会的需要が高まっているからに他なりません。
平たく言うと、この案件の相談が多い。
当事務所にも、ほぼ同時期に、全国のカッター工事業者からの相談が続いています。
昨年10月の記事(上記リンク)では、主にアスファルトカッター廃液の収集運搬を念頭に置いていました。
アスファルトカッター廃液という産業廃棄物を収集運搬するのに必要な品目は、
汚泥なのか、汚泥と廃アルカリなのか。
カッター廃液が汚泥ということは間違いのない事実なのですが、
この汚泥はかなり含水率が高く、またpHも12~13を示す強アルカリ性なのです。
ですので、収集運搬を行う場合は、
汚泥だけでなく、廃アルカリの許可も持っていないといけないのではないか、
というのが私の認識でした。
ところが、埼玉県で確認をしたところ、カッター廃液は汚泥として取り扱う、
つまり廃アルカリは不要だ、
という見解を示されたわけです。
あれから4カ月。
その間にも、各地でカッター廃液の処理に関する相談を受け続けてきまして、
各自治体にカッター廃液は廃アルカリなのか、ただの汚泥なのか、を確認してきました。
その結果、やはり自治体によって回答はまちまち。
私はますます混乱してしまった、ということになります。
今回は、収集運搬ではなく、中間処理に関して各自治体の見解を確認してきました。
中間処理というのは、具体的には汚泥の脱水装置ということになります。
カッター汚泥を脱水する方式には、機械の種類によって違いがあるようです。
その中で、脱水工程以外に中和工程があるのか、ないのか。
中和工程が仮にあったとして、それは廃アルカリの中和であって、
汚泥の中和というのは無理があるのではないか、というのが私の考えでした。
中間処理の工程の中に中和工程を含む=廃アルカリ必要
中間処理の工程の中に中和工程を含まず脱水=汚泥のみで足る・・・かもしれない
という風に考えるのが、明快なのではないかと思っていました。
中和工程を含まず、脱水のみで廃アルカリを処理する場合は、
中間処理を基準にカッター廃液を見ると汚泥になり、収集運搬を基準に見ると廃アルカリ+汚泥ということになると思います。
中和処理というのは、人為的に水素イオン濃度を調整するから中和であって、
中和工程を入れる以上、その廃棄物が廃アルカリではないというのは、無理筋ではないかと。
ところが、今回複数の自治体でカッター廃液の中間処理における品目の取り扱いについて調査してきたところ、
案の定、各自治体でバラバラ、まちまちでした。
結局、カッター廃液が廃アルカリになるのか、ならないのかの判断基準は、明確になっていません。
上記に記載した考え方は、私の個人的な考えでして、実際は各自治体の解釈、運用に従うしかありません。
全く同じカッター廃液という廃棄物が、
自治体ごとに異なる品目として取り扱われている、というやや不思議な状態に置かれているというのが、
現状です。
複数の都道府県にまたがってカッター工事をされている業者様にとって、
このような自治体ごとの取り扱いの違いに困惑されることかと思います。
私どもとしても、各自治体の指導に合わせて、品目の異なる許可を申請しています。
(河野)