私の所属する行政書士業界というのは、資格者1人で経営している事務所が圧倒的に多いそうです。

地域から出るさまざまな行政書士業務を柔軟に処理する、というのが、一般的な行政書士事務所。

司法書士業務や税理士業務と異なり、行政書士業務は非常に多岐にわたり専門的なため、

行政書士として成功するためのスキルには、「何でもできる」という能力が欠かせないように思えます。

 

プロ野球選手で、「内野も外野もどこでも守れる」というような話をときどき聞きます。

1人でどこのポジションでも守れる。しかも、プロレベルで。

これはすごいことですが、どうも私たち行政書士に求められるものも、

それに近いような気がしています。

建設業許可申請しながら、運送業許可申請もして、帰化申請から車庫証明、遺言相続、農地転用まで、

何でもできます、という行政書士さんが非常に多い。

 

もちろん、何でもできることは素晴らしいことです。

ただし、これは1人で事務所経営をする場合には経営資源といえますが、

事務所を拡張することは非常に難しいように思えます。

何でもできる従業員を補助者として雇用していかないと、事務所の拡張ができない。

現実には、そんな従業員はまずいません。

これこそが、行政書士事務所のほとんどが1人事務所である一番の理由ではないかと思います。

 

当事務所では、約10名で産業廃棄物処理業に特化して、許認可手続を代行しています。

(約10名は、書類作成を行う補助者から、全顧客の許認可情報をデータベース管理をする技術担当者まで含めて)

まだまだ小さな事務所ですが、これだけの人数で事務所運営をしていこうとすると、

何でもできる人に頼るわけにはいきません。

ということは、事務所として何でも手を出すわけにはいかなくなります。

ですので、廃棄物処理業に専門特化した事務所になっていったわけです。

 

ここまで書いてきて、当事務所のまだまだ浅い歴史(2003年~)を振り返ると、

「あれ?? 本当にそうだったけ?」

という気がしてきました。

 

私自身、産廃業許可申請を全国展開する前の2003~2007年は、

いわゆる「何でもできる行政書士」でした。

産廃業許可申請に特化したときには、

「産廃業許可申請業務を全国規模で行っていく」

という強い決意とともに、

「産廃業許可申請業務以外の業務は行わない」

という決断がありました。

やることを決めることは、やらないことを決めることでもあります。

 

さて、2008年より産廃業専門と方向性を決め、徹底的に実務に邁進してきましたが、

振り返ると、そこ頃はまだまだ事務所は組織化されていませんでした。

ただ、人がいただけだったような。

人がいたから、産廃業に専門特化していったのではなく、

産廃業に専門特化していくなかでだんだんと人が増えて組織化していったのが、当事務所でした。

 

行政書士事務所を組織化させる、という議論は、

近時、一部の行政書士たちの間で頻繁になされています。

旧来型の、「1人で何でもできる先生業」を営んでいた行政書士にとっては、

組織化された行政書士事務所など、想像もできない分野のはずです。

私自身は、小さいながらも組織化させながら事務所を営んできましたが、

行政書士事務所の組織化はまだまだ未開の世界であり、

日本中のいろんな大きな事務所から教えていただいてます。

 

専門特化して組織化された、産廃業許可申請日本一の事務所を目指していきます。

 

(河野)