安定型・管理型・遮断型の3つの最終処分場と事業計画

収集運搬業の許可申請書を作成する際、最重要の添付書類が事業計画書です。

事業計画書というのは、

  • どこから排出された廃棄物か
  • どのような性状の廃棄物か
  • 廃棄物の量は
  • どこに搬入するのか

について記載した、収集運搬の事業計画を記載した書類です。

その中のひとつ、

「どこに搬入するのか?」

の選択肢の一つに登場する、最終処分場について今日は説明してみます。

この記事の目次

  1. 事業計画の搬入先処分場
  2. 環境負荷の低い処分方法を選ぶべき
  3. 最終処分場は廃棄物たちの墓場
  4. 埋め立てずにできるだけ再資源化を
  5. 安定型処分場
  6. 管理型処分場
  7. 遮断型処分場

 

事業計画の搬入先処分場

収集運搬業許可申請書の要である事業計画書には、

品目ごとに搬入先の記載が必要になります。

たとえば、

  • 廃プラスチック類は中間処理場(破砕)へ
  • 木くずは中間処理場(破砕)へ
  • 金属くずは中間処理場(圧縮梱包)へ

といったように、品目ごとにそれぞれの品目を処分できる処分場へと持ち込むことになります。

 

環境負荷の低い処分方法を選ぶべき

私たち行政書士が顧客と一緒に事業計画を策定する際は、

なるべく環境負荷の少ない事業計画を作るようにします。

 

たとえば、木くずに関する処分方法は様々です。

中間処理場Aでは、焼却炉で焼却しています。

一方、中間処理場Bでは、チップ化して製紙原料や燃料にリサイクルされています。

 

この場合、環境負荷が低いのは後者であると考えられますので、

事業計画もなるべくそのように作成しています。

 

もちろん、実際の収集運搬に関しては排出事業者と処分場との契約の問題はありますが、

収集運搬業者としてはなるべく可能な限り、

環境負荷の低い処分方法を選択することが求められるでしょう。

建設リサイクル法等の特別法でも、再資源化の義務を法は課しています。

 

最終処分場は廃棄物たちの墓場

さて、今回の記事のテーマなんですが、再資源化できない廃棄物たちの墓場、

最終処分場について。

最終処分場というのは、廃棄物をそのまま埋めるだけでして、

考えようによっては廃棄物を地中に貯蔵していることに他なりません。

 

かつて、PCBについては処分方法が存在せず、ただ貯蔵・保管をしていました。

埋立廃棄物に関しても、埋立は本質的な処分方法ではなく、

埋立量を最小にとどめるために、中間処理により再資源化率を高めることが重要になります。

 

埋め立てずにできるだけ再資源化を

事業計画策定の際には、基本的に廃棄物の搬入先は、

最終処分場ではなく、中間処理場にすべきです。

それも、焼却よりは破砕など、リサイクル率の高い中間処理場を優先すべきです。

最終処分場に持ち込んで埋め立てるべき廃棄物の量は、最小にすべきです。

 

もちろん、埋立のコスト=処分費は一般的に高いですので、

最終処分場に持ち込む廃棄物の量を減らすというのは、

法の趣旨にも、事業者の経済的利益にも適うことになるでしょう。

 

具体的に、私どもが関わる事業計画上で、埋立にせざるをえない廃棄物というと、

廃石膏ボードや廃スレートなどが多いです。

石綿含有産業廃棄物の処分に関しては、破砕処理できませんので、

埋め立てるケースが多くなります。

 

また、陶磁器くずも埋立されることが多いようですが、

日本で流通している食器類は、中古でも海外市場では人気があるようですので、

大事に回収して、埋立せずに貿易に回すルートもあるようです。

(産廃かどうかは別にして。)

 

埋立が増えるのは、廃棄物の排出課程に問題があるケースが多いと思います。

廃棄物の排出は、再資源化しやすいように行わなければなりません。

建物の解体費用と建築廃材の処分費が天秤にかけられ、

安く解体、高く処分ということが、長年行われてきました。

 

安定型処分場

最終処分場には、安定型・管理型・遮断型の3種の施設があります。

この中で、構造上最も簡易な施設が、安定型処分場です。

 

安定型処分場で受け入れ可能な品目は、

  • 廃プラスチック類
  • ゴムくず
  • 金属くず
  • ガラスくず、コンクリートくず(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものを除く。)及び陶磁器くず
  • 工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物(がれき類)

です。

 

これらの安定型品目に関しては、水に溶けたり腐敗分解しないという特徴があり、

穴を掘り、産廃を埋めて、上から覆土を被せるというだけの単純構造の最終処分場になっています。

構造が単純であるからこそ、処分費も安いということです。

 

実務上は、管理型品目の混入がないかどうかが重要になります。

処分費を浮かせるために、管理型品目を意図的に混入させるという方法を聞きますが、

もちろん不適正処理です。

 

管理型処分場

産業廃棄物には20品目あります。

安定型に埋立でできる安定型5品目を除くと、残りの15種類の品目が管理型品目ということになります。

  • 燃え殻
  • 汚泥
  • 紙くず
  • 木くず
  • 繊維くず
  • 動物の糞尿
  • 動物の死体
  • ばいじん
  • 動植物性残さ

等が、管理型に埋め立てられる産業廃棄物です。

 

管理型処分場の特徴として、安定型に追加して、

  • 雨水流入防止側溝
  • 遮水構造
  • 汚水処理施設

が備わっています。

 

水に関して、安定型に比べて厳しい制限がありますので、

その分、水溶性や腐敗分解という性質を持つ廃棄物も埋め立てることが可能になります。

しかし、管理型の処分コストは安定型の2~3倍といわれており、

非常に費用の高い産廃処理方法と言えるでしょう。

 

現実にも、管理型に埋め立てなければならないような産廃は、

なるべく排出しないようにしなければなりません。

他のリサイクル方法(中間処理)の全てを試みた上で、

やむにやまれないもののみを管理型埋立に運搬する。

これが、現実に合っていますし、事業計画策定時も管理型への運搬は最小にとどめるべきです。

 

遮断型処分場

最後に遮断型埋立施設について。

特別管理産業廃棄物を埋立処分する施設です。

これは、廃棄物を公共水域や地下水から完全に遮断させる施設のことです。

 

遮断型施設には屋根があり、さらに廃棄物には覆いがあり、

雨水が一切入らないようになっています。

腐食防止加工が施された分厚い鉄筋コンクリートの箱の中に、

廃棄物を半永久的に保管するという施設です。

 

遮断型施設は、日本中にわずかしか存在していません。

 

(河野)