◆廃棄物処理施設技術管理者講習について(前編)◆

今回から2回に渡り、廃棄物処理施設技術管理者講習についてお送りします。
廃棄物処理施設技術管理者講習については、インターネット上にあまり情報が無いようですので、
どうぞご活用ください。

 

廃棄物処理施設技術管理者の資格

廃棄物処理施設設置許可、いわゆる15条許可や8条許可を取得するための要件として、
廃棄物処理施設の技術管理者を置かなければなりません。

廃棄物処理施設技術管理者は、環境省令で定める資格を有する者である必要があり、
また、いくつかの資格取得方法があります。
そのうちの一般的な資格取得方法が「技術管理者講習の受講」です。

今回と次回、2回の掲載で、廃棄物処理施設技術管理者の資格取得方法の1つである
「廃棄物処理施設技術管理者講習」の受講について、
一般論に加え、実際に受講した私自身の経験談を元に、記事にしてみたいと思います。

 

講習による資格取得

「講習で資格取得」というと、まれに勘違いされる方がいますが、
「産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会」とは全く異なる講習です。
こちらは産業廃棄物処理『業』の許可申請に関する講習会。
そして技術管理者の資格は廃棄物処理『施設』技術管理者講習です。
上記は『業』許可、下記は『施設』許可に対応するものです。
私は、許可申請に関する講習会、技術管理者講習ともに受講しました。
 

廃棄物処理施設技術管理者の資格取得方法

廃棄物処理施設技術管理者の資格の取得について、
技術管理者講習の受講によるものと、それ以外によるものの2つに分けて、解説いたします。

 

技術管理者講習の受講による資格取得

先に述べたように、廃棄物処理施設技術管理者の資格を得るには、
いくつかの方法があります。
特定の学歴や資格、実務経験が無くても、技術管理者講習を受講することにより、
廃棄物処理施設技術管理者の資格を取得することが可能です。
私の持っている廃棄物処理施設技術管理者の資格は、講習の受講によるものです。

 

技術管理者講習の受講以外による資格取得

技術管理者講習を受講する以外にも、技術管理者の資格を取る方法はあります。
例えば、

  • 技術士資格(化学部門、上下水道部門又は衛生工学部門)により実務経験不要で認定
  • 環境指導員の実務経験で認定
  • 実務経験(プラス学歴又は資格)で認定

など、これ以外にも複数の方法があります。

 

なぜ技術管理者講習を受講する必要があるのか

学歴や資格、実務経験で廃棄物処理施設技術管理者の資格が取れるのに、
技術管理者講習を受講する方が多くいます。
なぜ、受講する必要があるのでしょうか。

 

講習受講以外による資格取得条件は困難

講習受講以外による資格取得要件について実情を考えてみると、
技術士資格を持っている人はなかなかいないでしょうし、
環境指導員の経験者となると、もっと少ないでしょう。

よって、講習を受講することなく廃棄物処理施設技術管理者になるためには、
「実務経験(プラス学歴又は資格)」くらいしか方法がない、ということになります。

 

実務経験(プラス学歴又は資格)の証明

次に「実務経験(プラス学歴又は資格)」の証明による技術管理者の資格取得ついて、
考えてみましょう。

一例を挙げると、大学で衛生工学や化学工学を修めている場合、
2年の実務経験で、廃棄物処理施設技術管理者の資格取得が可能です。

大学のそれ以外の学科卒や、高等学校卒となると、
修めた科目によって、必要な実務経験の年数は、3年、4年、…と段階的に延びていきます。
しかし、資格認定の要件に指定された科目が極めて限られるため、実際には難しく、
10年の実務経験のみでの認定というケースが多いようです。

 

10年の実務経験の立証の難しさ

つまり、10年の実務経験の証明(=立証)ができれば、
技術管理者講習を受けることなく、
廃棄物処理施設技術管理者になることができるわけです。

ところが、現実にはこの10年の実務経験の立証が、非常に困難なのです。

私たち行政書士は、様々な許可申請において実務経験を証明する場合があります。
どのような許可申請においても、実務経験の証明が困難なケースが多々あります。

廃棄物処理施設技術管理者の実務経験は、10年以上稼働した施設での経験ですので、
許可を受けて10年以上稼働した施設でしか、証明を出すことができないはずです。

 

技術管理者講習の受講

以上の理由から、実務経験があってもその証明が困難な方や、
実務経験のない方などが、
技術管理者講習を受けて廃棄物処理施設の技術管理者の資格を得ています。

実務経験が全く無くても、技術管理者講習を受ければ、
廃棄物処理施設技術管理者の資格を取得できます。

また、実務経験が証明できる場合であっても、技術管理者講習を受講して
技術管理者の資格を得る方も多くいるようです。
その際、高校卒業者で、実務経験7年が証明できる方は、
技術管理者講習のうち「基礎課程」の受講が免除され、
「管理過程」のみを受講して技術管理者になることが可能です。

 

技術管理者講習についての情報の少なさ

廃棄物処理施設技術管理者講習や、講習の最後にある修了試験、
講習と修了試験にパスしたら付与される廃棄物処理施設技術管理士という資格など、
インターネットで調べてもよくわからない、という方が多いのではないかと感じています。
恐らく、受講者や資格者の母数が少ないためでしょう。

次回は、廃棄物処理施設技術管理者講習の内容や、修了試験の難易度などについて、
「私の体験談」ということで記事にしてみようと思います。

(河野)