産業廃棄物収集運搬業の許可のみを取得している企業の中には、本来許可が要るのか要らないのか、曖昧な企業が多く見受けられます。
産業廃棄物収集運搬業許可とは、他人の出した産廃を運ぶことを業としてよい、という許可のことです。
それでは、自分の出した産廃のみを運ぶ場合に産業廃棄物収集運搬業許可は要るのか、というと。
これは要らないということになります。
自社が元請として工事に入って産廃を排出している場合や、自社の工場から排出される産廃を中間処理場へ自社運搬する場合などは、仮に産廃を運搬しても、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要だ、ということになります。
ところが、実際には産廃を運ぶ以上は、産業廃棄物収集運搬業許可申請を取得しようとする企業も多いです。
ある解体屋さんは、産廃を積んでトラックで運んでいる途中に警察に止められ、産廃の許可証を見せなさいと言われたそうで。
確かに、荷台に木くずや廃プラ載せていれば、客観的にそれが収集運搬業許可の要る産廃なのか、
それとも収集運搬業許可の要らない産廃なのかの区別はつきません。
なお、車両へのステッカー表示は自社運搬でも必要ですので、許可番号のないステッカーを貼って走る必要があります。
それから、これが一番多いケースですが、
現実に産廃を運ぶのか、運ばないのかなどは置いといて、
「当社(元請)と取引をしたいのであれば、産業廃棄物収集運搬業許可の許可証を提出しなさい」
という一律の要望です。
元請側はやはり企業の規模が大きい場合が多く、無許可業者を下請けとしてでも使いたくないというコンプライアンス意識が強く働きます。
産廃の許可を持っていない業者とは、はなから取引しないという姿勢です。
仕事が欲しいから、産業廃棄物収集運搬業許可を取得する必要があるという事例は、かなり多い。
しかし、この場合には、事業計画が大変書きにくいことが多いかと思います。
なるべく多くの可能性を考慮し、幅広い品目での収集運搬業許可を取得することが大事でしょう。
事情はよく分かっています。
当事務所では、そういったアドバイスもしています。
(河野)