産業廃棄物処理業の従業員の無知と善意は企業の存亡に関わる

 

先日、廃棄物処理業者の作業員は常に人材不足だという話を記事にしました。

廃棄物処理業界は、なぜいつも人手不足なのか?

その改善の為にも、作業員レベルで十分な従業員教育を施すべきだと、

私は前々から主張しています。

この記事の目次

  1. 産廃業者の作業員こそ廃掃法の教育を
  2. 従業員の行動により、産廃業者は行政処分されることも
  3. 産廃業者の作業員は会社のためを思って違法行為を行っている
  4. 作業員への従業員教育は廃棄物処理業のコンプライアンスに通ずる

 

産廃業者の作業員こそ廃掃法の教育を

その中でも、廃掃法に関する知識は、廃棄物を取り扱う従業員であれば、

絶対に必須の知識として持っておかなければなりません。

 

家で捨てる家庭ゴミの分別を間違ってしまったとしても、

言い方は良くないですが、そんな大事には至らないでしょう。

しかし、廃棄物処理業者の従業員の無知は、

会社の経営を傾けてしまうことさえあるのです。

 

従業員の行動により、産廃業者は行政処分されることも

私も何度か、廃棄物処理業者の従業員が行った行為で、

行政の立ち入りが入り、大変なことになったケースを見てきました。

例えば、産業廃棄物を一般廃棄物として処分するルートに乗せてしまったり、

まさかこんなものが産廃廃棄物になるなんて、考えもせずに自然に還してしまったり。

 

こういったケースが問題になったとき、

企業側は、行政処分、許可取消のリスクに晒されることになります。

そうなると、廃棄物処分業が営めなくなり、

あるいは産廃業の許可を前提とする建設業や運送業の仕事が営めなくなります。

これは、企業経営にとって極めて重大な問題です。

 

産廃業者の作業員は会社のためを思って違法行為を行っている

ところが、です。

会社を危機に陥れた当事者である従業員の方に話を聞くと、

必ずといってもいいかと。

こういう答えが返ってきます。

「会社のために、良かれと思ってやりました」

 

それは、処分費の削減であったり、人件費の削減であったり。

経費を削減して会社に利益を残そうと思った行為が、

とんでもない問題を会社に引き起こしてしまうのです。

無知な善意ほど恐ろしいものはありません。

 

経営者や廃棄物処理業者の管理職クラスは、

安易な経費削減がコンプライアンスに関わる問題であろうことを、

認識しているはずです。

 

ところが、従業員はそうではありません。

そんな従業員が、

「残業代減らせ、処分費減らせ」

ばかり言われながら働いていると、

ちょっとした違法行為を正義と勘違いしてしまうという事態が起こりうるのです。

 

作業員への従業員教育は廃棄物処理業のコンプライアンスに通ずる

こうした問題を引き起こすのは、特に作業員レベルでの廃掃法の知識不足にあると思われます。

企業を護るには、作業員一人ひとりにまで、

廃掃法の基本的な知識を浸透させる必要があるのです。

廃棄物処理業者の従業員は、全員が廃掃法のプロでないといけないのです。

 

ところが、現場作業員に廃掃法を教育できている廃棄物処理業者というのは、

非常に少ないのではないでしょうか?

 

私どもの事務所のある広島市では、一般廃棄物収集運搬の委託事業者は、

外部講師による従業員講習会を施すことで、点数がアップする仕組みがあります。

また、各協会、組合などで作業員向けの研修も行われています。

 

今自分が運搬しているものが、

一般廃棄物なのか産業廃棄物なのか特管なのか有価物なのか分かっていない、

というのは、恐ろしいことです。

廃棄物処理業者の従業員教育はまず、廃掃法から。

みなさんお忙しいでしょうが、教育を疎かにするのは非常に危険です。

 

(河野)