先日は、当事務所の従業員で新年会を開催しました。
私の生まれ故郷の九州でもらってきた猪肉をしゃぶしゃぶにしました。
私は子供のころから、猪を食べることに慣れ親しんできたので、
全く珍しい物ではないのですが、
従業員のほとんどが、猪肉をとても珍しがっていました。
ところで、なぜ猪肉が私の手元に入ってくるかというと、
私の親戚が山の中に罠を仕掛けているからです。
農業を営む彼は、冬になると山に猪の罠を仕掛け、
鉄砲で撃ち、血抜きをした肉を私がいただいているということです。
彼は別に猪肉が食べたいから罠を仕掛けているわけではなく、
猪の尻尾を役所に持っていくと、現金と交換してくれるから、
農家の冬場の副業として猪を捕まえているわけです。
1月などは、それでちょっとしたお小遣いになると言ってました。
猪以外にも、鹿を駆除している猟師もいます。
ところで、この駆除した野生動物の肉は、どのように廃棄されていくのでしょうか?
きちんと猟師が食べてしまえば、そんなに大きな問題にはならないでしょうが、
現実には老いた鹿など食べても美味しくないらしく、
消費に困っているようです。
私は、猪肉もらったら大喜びしていますが、
血抜きが悪い肉もらって臭くて食えんかったという話もしばしば聞きます。
さて、この狩猟された野生動物の死体ですが、
狩猟後に廃棄物としての適正処理がされていないという実態があると聞きます。
「動物の死体」というのは、産業廃棄物の品目の中に指定されていますが、
狩猟によって発生した動物の死体は、どうやら産業廃棄物に当たりません。
そもそも、狩猟行為が事業活動に当たるのか?
当たるとしても、産廃の品目の動物の死体には業種指定があり、
畜産農業に係る事業活動に伴って生じた動物の死体のみが産業廃棄物として扱われます。
豚の死体は産業廃棄物ですが、猪の死体は一般廃棄物だと思います。
さて、この狩猟された野生動物の死体ですが、
どうも山に穴を掘って埋めたり、ときには山の中に放置されていることもあるようです。
実際、山の中に野生動物の死体が放置されていたからといって、
ほとんどの人にとって何も関係がないことだと思います。
しかし、法律は、街の中も山の中も平等に適用されるもので、
法律に特例を設けるか、狩猟された野生動物の処分方法を検討するかをしなければ、
廃掃法も野生動物の死体も、放置された状態のままということになってしまいます。
森、山林の価値は、人間の生活様式の変化に伴い、生活にとっての価値を縮小させています。
人の手入れがされていない森や山林の野生動物の力は、人間と比較して相対的に大きくなります。
今後も狩猟はますます必要になるのでしょうし、
そうなると野生動物という廃棄物の問題はいつか大きくなって顕在してくるのかもしれません。
そんなことを、新年会のしゃぶしゃぶをつつきながら思い出しました。
最後にちょっと、猪のしゃぶしゃぶについて。
今回、いただいた猪肉は大型の雄でした。
雄肉はとてもかたいので、近所の肉屋に持っていってスライサーをかけてもらいました。
すると、カットでこうも味が変わるのか。
私が包丁で切る肉とはもう全然味が違う。
今までいただいた猪肉の中でも、一番おいしく感じました。
ということで、猪肉のブロックを手にして困っている方。
ぜひ、本職の肉屋さんに持っていってカットしてもらってください。
プロと素人の違いを感じるはず。
(河野)