現在、和歌山県のローカル線に揺られながらこの記事を書いています。

産廃の処分場は性質上、山の中にあるケースも多く、山の中を車で回る事が多いです。

今回は、同行した職員が車で先に広島に帰ったため、私は電車の旅。

 

産業廃棄物の積替保管施設や中間処理場は、市街地、郊外、山の中と、

何処にでもあるようですが、何処にでも設置できるものでしょうか?

そうではないです。

 

私は産廃の中間処理場や積替保管施設として物件を購入した後で、

実は、そこでは許可が下りない、というケースを経験した事があります。

買ってしまった後に、想定していた用途として使えないというわけですから、

これは会社は大損害です。

 

幾つかの、産廃処理業の許可を取得できない事例を列挙してみます。

 

積替保管施設や中間処理場の設置に際して、

廃掃法の枠を超えて、土地を廃棄物処理業に利用していいのか?という問題があります。

用途地域は何か?

市街化調整区域になっていないか?

県や市の役所の中の色んな部署に確認をします。

鳥獣保護法や文化財保護法まで調べることも。

 

市街化調整区域に該当する土地の場合、土地上に建屋を建てることが容易にはできません。

たとえば、行政側が管理型品目の積替保管については必ず建屋内で、という場合、

市街化調整区域に違法な建屋建築を行ってから、

積替保管の許可申請をしなければならないということになります。

合法に積替保管を行おうと思えば、前提に違法行為が必要になるというパラドックス。

このような土地を産業廃棄物の積替保管施設設置に使うべきではないでしょう。

そもそもの計画に無理があります。

 

仮に、がれきやガラスくずなどの安定品目の積替保管であり、

建屋内保管が義務付けられないケースだったとします。

市街化調整区域に建屋なしで許可申請ができそうです。

しかし、青空保管で申請を出そうとすると、おそらく役所の担当者にこう言われます。

「マニフェストは何処に保管する気ですか?」

マニフェストの保管場所が施設にないと、積替保管の許可はおりません。

簡易のプレハブを置いても、都市計画法の違反になってしまいます。

 

積替保管施設や中間処理施設のための土地については、

土地の取得に先立って、事前に都市計画法に基づく調査をしておかなければなりません。

もちろん、他にもたくさんの事前の調査が必要です。

上記では市街化調整区域を挙げてますが、

市街化区域であっても、用途地域によって許可が下りないというのはよくあります。

 

また、許可主体は県なのに、市の条例で産廃処理施設を規制しているという事例もあります。

保管する品目によって、広大な敷地面積を求めるケース、

それから境界を接する住民等の同意を求められるケースなどあります。

 

産業廃棄物の積替保管施設や中間処理施設設置のための土地の入手は、大変なリスクがあります。

何しろ、許可が下りない可能性があるのですから。

事前調査は、必ずしなければなりません。

 

(河野)