産業廃棄物処理業の許可を得るための要件の一つに、経理的基礎の要件があります。

・債務超過になっていないか?

・事業で利益は出ているか?

・会社の稼働実績はあるか?

などが見られます。

 

一部の自治体(愛知県・岐阜県・静岡県外)は、経理的基礎に疑義がある場合、

中小企業診断士の診断書を添付する必要があります。

愛知県の要件はなかなか細かくて、すれすれの数字の場合は、決算書をにらめっこしながら、

許可を取れるかどうか、診断書が要るかどうかを判定しています。

 

中には、数字が悪すぎてどうにもならない事例もあります。

債務超過であり、直近の経常利益も赤字。

直近三年の経常利益の平均も赤字となれば、

一部の自治体では、許可を出してくれません。

 

また、愛知県や岐阜県では、3期の実績がない業者は、

必ず診断書の添付が必要になります。

全国的に、収集運搬→積替保管→処分の順に、経営診断書を求めることが多くなります。

 

当事務所では、なるべく診断士の診断書が不要になるように、という方針で書類を作っています。

むろん、決算書を粉飾できるわけではありませんが、

産廃の許可がとれるようにする方法、診断書を要らなくする方法・・・というか調整ができることがあります。

具体的には、正攻法で増資や役員の債権放棄、減価償却の調整。

やや裏ワザで、利益が出るところで決算したり、次期決算が出る前に申請したり。

外にも、制度の裏を突いたような特殊な申請方法もあります。

 

産業廃棄物処理業の許可申請で経理的基礎を求められる理由はなにか。

一言でいえば、不法投棄や野焼き、不適正処理の防止だと思います。

廃棄物は、収集運搬業者や処分業者が受け入れた段階で、売上が発生します。

受け取ったものは、「商品」ではなく、処理に金のかかる「廃棄物」です。

もしも、廃棄物を受け取った業者が金に困っているとすれば、

不法投棄や野焼きをすることで、処分費をかけずに廃棄物を手放すことができます。

 

もちろん、そのような違法なことをさせないように、廃掃法では不法投棄に非常に重い罰則を科し、

マニュフェスト制度によって廃棄物の動きを管理させています。

それと同様に、経営状態の悪い会社には、廃棄物を触らせたくないという価値判断が働いているものと思われます。

 

(河野)