「破砕施設 設置のケース」

技術士の鎌田です。

今回は一定規模以上の廃棄物処理施設設置を
設置する際に求められる生活環境影響調査の中で
最も多い破砕施設の設置のケースについてお話ししたいと思います。

実際、破砕施設として調査の対象となる施設は、
1つ目は「廃プラスチック類の破砕施設」、
2つ目は「木くずまたはがれき類の破砕施設」となります。

少し前のデータになりますが、大きく傾向は
変わっていないと思いますので以下にご紹介します。

平成29年に産業廃棄物処理施設の設置状況について
調査した統計データによるとこれらの破砕施設については、
平成29年4月当時になりますが、
「廃プラスチック」に関する施設が2,005施設、
「木くずまたはがれき」に関する施設が10,253施設となっています。

当時の中間処理施設の施設数は全体で19,018 施設でしたので、
「木くずまたはがれき類」の破砕施設が54%、
「廃プラスチック類」の破砕施設が11%となっており、
全体の半数以上を破砕施設が占めている状況です。
この後もこの傾向は続き、新規に許可を受ける
木くず又はがれき類の破砕施設が増加傾向にあります。

このような状況ですので、全国にある廃棄物中間処理施設における
破砕施設の設置あるいは老朽化に伴う施設の更新などの際に
生活環境影響調査が行われることが多い所以(ゆえん)です。

この破砕施設の生活環境影響調査を行う場合は、
環境省が出している「廃棄物処理施設生活環境影響調査指針」の中に
「第4章 その他の処理施設の生活環境影響調査手法」
:「4-1 破砕・選別施設」とあり、
標準的な生活環境影響要因と生活環境影響調査項目を示した
マトリクスが提示されています。

具体的には、施設排水、施設の稼働、
施設からの悪臭の漏洩、廃棄物運搬車両の走行について、
大気、騒音、振動、悪臭、水質の観点から、事業計画を見て、
必要な調査予測評価を行うことになります。

ただ、破砕施設と言っても当然、設置場所や配置計画、
処理能力、処理場全体に配置された他の機種、
建築物内外いずれの設置になるかなど、
施設に応じてその状況は異なるため、
ワンパターンの調査予測評価というわけにはいきません。

特に住居系の地域が近接しているような場合は、
様々な環境保全対策を施し、
できる限り騒音や振動などの低減に努める必要性が生じます。
事業場の敷地境界において、規制基準を順守すれば良い、
という単純なストーリーにならないこともあり、
感覚公害と言われる騒音などの難しいところです。

次に、破砕施設に関する生活環境影響調査の
一般的な事例をお話ししましょう。

一般的には、破砕施設の場合、騒音及び振動が
環境影響調査項目として設定されることがほとんどです。
現実的には破砕作業に伴い大気汚染の中でも
特に粉じんの飛散などもあり得ますが、
それを定量的に調査予測評価するとなると現地調査の必要性が発生し、
発生源からの排出量をどのように捉えるかなど、
技術的、コスト的に事業者に過大な負担が生じることとなります。

そのため、現況の把握については、
最寄りの一般環境大気測定局などの浮遊粒子状物質(SPM)の値を整理し、
気象観測データは最寄りのアメダスデータを用いることなどが通常行われています。

運搬車両走行に伴っての大気汚染については、
道路交通センサスの値と比較検討し、
交通量の増減から定性的に評価するのが一般的です。
粉じんの飛散防止対策として散水処理装置を具体的に示し、
環境保全対策を施すことにより評価する事例もあります。

また、水質については、破砕施設の場合、
処理工程で水を使うことがほとんどなく、
施設稼働に伴う排水は無い、
として定量的な予測はしないことが普通です。

厳密に言えば、場外などに保管している廃棄物に雨水が降り注ぎ、
雨水排水中に様々な物質が溶出しないとも限りませんが、
搬入される段階で有機物の付着の程度、
有害物質などの混入などの聞き取りなどが行われ、
排水計画の中で沈砂池や分離槽などの水質汚濁防止の措置を明示し、
環境保全対策を施すことにより評価する事例もあります。

こうして残る環境影響調査項目として
騒音、振動の対応が主となります。
長年、生活環境影響調査に携わってきた技術者としては、
環境への影響が最も大きいと予想される項目について、
重点的に行うという印象です。

ちなみに、県条例などに伴う環境アセスメントの場合は、
そうはいかず、ほとんど全ての項目について、
できる限り定量的な予測評価が求められ、
時間的、費用的にも膨大なものになります。

騒音、振動はいずれも
発生源や規制基準のある敷地境界までの伝搬経路を設定し、
予測式に基づき計算することになります。

この過程で、様々なブラックボックスが現在、存在します。
それは、発生源や予測地点までの伝搬経路をどのように考えたか、
という極めて当たり前のことが明示されておらず、
システムソフトに入力し出た数値をそのまま予測結果として
記載している事例が多々あることです。
これでは後に騒音や振動の問題などが表面化した時など、
予測結果を改めて検証することもできず、困ることになると思います。

騒音や振動の予測をする際には当然、
破砕施設の騒音振動レベルを設定します。
ただ、現実的には処理場全体を眺め渡したとき、
騒音振動の発生源は複数あります。
破砕施設が単独で稼働することなどありえず、
日中、何台も搬入搬出トラックの出入りがあります。

さらに、トラックで搬入された廃棄物は場内の保管場所に降ろされ、
今度は油圧ショベル(パワーショベル)で
いよいよ破砕施設への投入となります。
この投入の時、静かにそっとがれきを投げ入れる
などということは行われません。
ガラガラガシャーンといった感じでしょうか。

しかし、これらを全て定量的に予測することは難しく、
常時稼働する破砕施設を発生源として設定し、
予測評価することとなります。

技術者としてこれで良いのか?

発生する騒音振動レベルを言わば低く見積もった状態ともいえます。
そこで、投入音は突発的ですので作業員にできる限り
高所からの投げ入れを行わないなどの工夫をしてもらうとして、
予測の方では同時に稼働する油圧ショベルの
騒音振動も合わせて解析することとしました。

場合によっては、油圧ショベルの方が
破砕施設よりも大きなレベルとなることもありますが、
より現実にそくした予測結果が導き出されると考えています。

時に事業者には防音対策の施工などの
負担をご相談することもありますが、
後になって地元住民や関係市町村から
クレームを言われるようなことのないように取り組んでおり、
このような考え方で東京都ほか、
多くの地域で生活環境影響調査を行っています。

最後に最近の具体的な事例をお話しします。
生活環境影響調査の依頼があり、客先にお伺いすると
破砕施設の更新申請をするため、
調査が必要である旨の話しをされました。

入替えで新しく導入する破砕施設の
騒音振動などのデータは良いのですが、
それらを配置する図面は相当古く、
現況と比較してもかなり違うような個所が見られました。
聞けば、当時設計を行った事務所は既に無く、
図面の修正もままならないとのことでした。

建物の主な構造、敷地内の配置、敷地境界までの距離など、
騒音振動予測に必要なデータは十分理解しておりましたので、
現地で測量ではありませんがメジャーなどで実測し、
図面の補正を行いました。

正確な調査予測評価を行うためには、
図面や各種データなどの重要性を改めて感じた仕事でした。

破砕施設は、日々の稼働の中で
適切なメンテナンスを行っていても必ず消耗するものです。
事業を継続する限り、老朽化に伴い更新する必要性が生じます。

その時は、経験豊富な弊社まで、是非ご相談下さい。

技術士(総合技術監理部門・建設部門) 鎌田真裕