技術士の鎌田です。
 
 
生活環境影響調査の項目として、「水質」があります。
 
水質と一口に言ってもその分析項目はたくさんあり、
生活環境影響調査としてどの項目を調査対象とするか悩まれることもあると思います。
 
水質調査は一般的に環境基準や排水基準等として定められている項目が中心になりますが、
生活環境影響調査を行う場合は、対象施設ごとに定められた生活環境影響調査指針があり、
それらの項目を基本的には選定することになります。
 
この中には、「その他の必要な項目」として排水先や流域に湖沼などの
閉鎖性の水域等がある時は、窒素やリンなどの項目を追加することとなっています。
 
環境基準項目や排水基準項目を全て実施する必要はありません。
 
これらの項目の中には、農薬や有機塩素系化合物等もあり、
施設計画とは関係のないものも明らかにあるからです。
 
しかも分析費用も多額となり、この見極めは大切です。
 
 
水質調査項目の中では、焼却施設でも、最終処分場でも、
あるいは破砕施設や汚泥の脱水処理施設でも、
必ず含まれるのが生物化学的酸素要求量、普通はBODと言います。
 
でも、みなさんBODと簡単に言いますが、その内容についてご存知でしょうか?
 
BODは、微生物を利用した分析方法で、かなり特徴的な項目です。
 
結論から説明すると、サンプル中の微生物が有機物を分解する過程(5日間)
で消費される溶存酸素の量のことです。
 
川に生活排水等が流入した場合、単に川の水によって希釈されるだけではなく、
瀬や淵等の流れの中で爆気され、
水中の好気性微生物によって徐々に浄化されていきます。
 
BODの分析はサンプルに含まれているこの好気性微生物を利用して、
一定期間培養し(5日間)、
どの程度浄化されたかを溶存酸素量を指標として現すものです。
 
有機物の量が多ければ、当然、好気性微生物は5日間活躍し、
それに比例して酸素を消費します。
 
言い換えれば酸素消費量が多ければ
「有機物の量が多い=汚濁が進んでいる」
ということになるわけです。
 
 
私が分析を行っていたころは、1日に数百件程度流れ作業のように
朝から晩まで行っていたことがありました。
 
時には真夜中までかかることもしばしばでした。
 
というのも、BODの場合、採取後、即日試験が原則であるため、
分析機関に搬入された検体はその日のうちにまずはDO1(搬入時の溶存酸素量)
を測定する必要があるからです。
 
5日後に今度はDO2を測定しBOD分析は終了です。
 
ちなみに余談ですが、火曜日に検体を受付すると5日後が日曜日となり、
当時は誰が休日出勤するか、あまり検体が多いと休日に何人も駆り出されたものです。
 
分析機関も利口になり、火曜日の検体受付をストップしているところもありました。
 
何となくご理解頂けましたか?
 
 
産廃事業者様が排水を管理されるような場合、BODの定期的な測定は必須でしょう。
 
あまり細かな分析方法のことまでは知らなくても問題はありませんが、
微生物を使った変わった分析方法のようだなとご理解頂いただけでも良いと思います。
 
 
ただ、時々問題が発生します。
それは排水を消毒して排水しているような場合、残留塩素が効いており、
肝心な好気性微生物が死滅し存在しないサンプルがあります。
 
これではBODは測定できません。
 
そのような場合は、あえて植種液という好気性微生物の手を借り、分析を行います。
 
分析機関では、どのようなサンプルが搬入されて来るかわかりませんので、
日常から下水等を利用してこの植種液を培養し、いつでも使えるようにしています。
 
具体的には、残留塩素が効いているような場合はまずその残留塩素を一旦中和処理し、
その後植種液の出番となります。
その後の流れは普通のBODと一緒です。
 
 
昔、分析技術者の先輩から、「なぜBODを5日間培養するか?」と問われ、
私にはわかりませんでした。
 
すると先輩曰く
「日本の河川はいろいろあるが、上流から下流、そして海に至るまで概ね5日間程度かかるので、海に出るときにどの程度浄化されているか知るためである」
と教わりました。
 
まあ、きっとこんな感じなんだろうなと思います。
 
BODの話しに終始してしまいましたが、
これからも他の有害物質等についても随時話していきたいと思います。
 
 
技術士(総合技術監理部門・建設部門) 鎌田真裕