産業廃棄物処理業許可申請手続の連件申請と添付書類援用
産業廃棄物処理業の許可申請を「連件」で出す場合があります。
この際に、「添付書類の援用」ができる場合があるのですが、
今回はそれについて記事にしてみます。
この記事の目次 |
「連件」やら「援用」やら、難しそうな単語を冒頭に並べてしまいましたが、
そんな難しい話ではありません。
連件申請とはどんな申請か
「連件」が正式名称なのかは私はよく分かりませんが、
要は2件、3件の申請を同時にすることです。
申請先の窓口に行って、2件分、3件分の申請書を束にしまして、
一度に申請をすることになります。
添付書類の援用とはなにか
「援用」とは、連件申請の際に、前の申請書に添付した書類を、
後の申請書には添付を省略できるという取り扱いをいいます。
同じ書類、たとえば住民票の写しを前の申請書に添付しているのであれば、
後の申請書には添付は省略できますよ、という扱いのことを言います。
連件申請の代表例は、変更届+更新許可申請
連件という状態がどういう場合に生じるのか?
一番多いケースは間違いなく「変更届+更新許可申請」という組み合わせ。
変更届とは、すでに許可を受けている産業廃棄物処理業に関して、
何らかの変更があった際になされる届出です。
具体的には、よくある変更として以下のようなものが考えられます。
- 収集運搬車両の変更(車両の増車や減車、入れ替えなど)
- 役員・株主の変更
- 駐車場の変更
- 会社の本店所在地や会社名の変更
変更届の遅滞は好ましくないが現実にはかなり多い
これらの変更があった際は、
変更の日から10日以内に変更届を提出しなければならないことになっています。
ところが、この変更届を遅滞している企業が非常に多いんです。
もちろん、変更届の遅滞は違法状態ですので、好ましい状態ではありません。
変更届を出していない会社が、必ず手続的に行き詰まるのが、
5年に1回の許可の更新時なんです。
更新許可申請の際に添付する添付書類が企業の現在の状態と食い違っており、
このままでは許可の更新ができません。
ですので、変更届と更新許可申請が同時になされるのです。
このときに、変更届に添付した書類と、
更新許可申請に添付した書類が全く同じということがあり得ます。
「株式会社旧商号」という会社が商号変更をして、
「株式会社新商号」という会社名に変わったけれど、
変更届を提出していないままに産廃業許可の更新期限を迎えた場合を考えてみます。
許可の情報と公文書から読み取れる現実に齟齬が生じる
会社の登記事項証明書を見ると、会社名はすでに「株式会社新商号」に変わっています。
これは、商号変更登記という会社の登記を変更する手続きが、すでに法務局でされているからです。
ところが、産廃業の許可証をみると「株式会旧商号」になっています。
許可の更新手続には、会社の登記事項証明書を添付するので、
この会社が産廃業許可の変更届出が未了なことが、申請先で明らかになります。
変更登記は完了で、変更届が未了、そのために会社名に齟齬がある状態ということ。
更新の前提としての変更届の提出が必須
このままでは、更新ができません。
そこで、更新許可申請に先立って、変更届を提出することになります。
もっとも、
- まずは変更届を出しに役所に行って
- 受理されたら会社に帰って
- 再度変更許可申請のために役所に行く
・・・などというようなことは、まずしません。
変更届も更新許可申請も、一度に両方出してくるんですね。
ただし、便宜的に変更届を先に、という扱いをすることになります。
これを、私たちは「連件申請」と呼んでいます。(正式名称は知りませんが、役所では通じます)
連件申請の際の共通する添付書類は援用可能
連件申請の際にほぼ同時に提出する、変更届と更新許可申請書。
このそれぞれの書類に、同じ会社の登記事項証明書を付けるのはどうも非効率じゃないか。
同じ書類をほぼ同時に出すわけですから、片方の添付だけでいいのではないか。
これが、添付書類の援用という考え方です。
連件の前件である変更届に登記事項証明書の原本を添付するのか、
後件である更新許可申請に登記事項証明書の原本を添付するのかは、
申請先の役所に確認しましょう。
原本を提出しない申請に関しては、代わりにコピーを提出することになります。
これが、添付書類の援用です。
以上、産廃業許可申請における連件申請と添付書類の援用についてでした。
今回は書きませんでしたが、もうひとつ実際に多い連件申請は、
変更許可申請+更新許可申請という組み合わせです。
これについても、また書く機会があるでしょう。
(河野)