今日は、いつもの「産廃日記」は少しお休みさせていただき、
昨日開催された行政書士座談会のことを書いてみます。
私の「行政書士」としての社会活動の記録ですので、廃棄物リサイクル等に関する情報をお求めの方は、
どうかこの記事は読み飛ばしていただければと思います。
今日は、行政書士同業者向けの記事を書いてみたいと思います。
私がこのブログ記事を書き続けている相手方は、廃棄物処理業や許可申請の情報が欲しい方であり、
本来想定する読者に読み飛ばしをお願いするのは、申し訳ないです。
8月30日、広島市で行政書士の座談会が開催されました。
私(河野)も、パネラーとして登壇いたしました。
私以外に4名のパネラーが登壇したのですが、そのメンバーがなかなか凄い。
<広島> 崎田 和伸 行政書士(行政書士法人Asumia)
<仙台> 塩谷 豪 行政書士 (行政書士法人A.I.ファースト)
<福岡> 長江 博仁 行政書士(行政書士法人A.I.ファースト)
<名古屋>大野 裕次郎 行政書士(行政書士法人名南経営)
という、およそ広島で開催された行政書士向けイベント、勉強会、研修会の類の中では、
最も豪華(独断と偏見で)な顔ぶれが揃ったのではないかと思う、全国の実務家が勢ぞろい。
その一人に私も加えていただき、ありがとうございました。
行政書士が社会の役に立ち、職業として成立していくことを、ひとりの行政書士として強く望みます。
昨日の話を聞いていただいた行政書士の中で、実務家の生の話から刺激を感じ取っていただけた人がいれば嬉しいです。
私自身も、4名のバリバリの実務家と意見交換をすることで、刺激を受けましたし、勉強になりました。
今回の5名の中で、私のみが特異な意見、異端説を何度も主張し続けたような気がしています。
聴衆には、どのように聞こえたかは分かりませんが。
私は、廃棄物処理業許可申請に専門特化して、日本全国を商圏に行政書士業を営んでいます。
私のようなタイプの行政書士を、私はほかに知りません。
﨑田さんも、大野さんも、長江さんも、塩谷さんも、
地域の拠点を中心に企業向けのサービスを提供するというスタンスの延長線上にいるのではないかと思います。
一般的なやり方の行政書士事務所を、特に大きく成長させた事務所形態なのだろうと認識してます。
一方、私はひたすら産廃業許可申請ばかりやっていますし、毎日のように日本全国を出張しています。
私自身、﨑田さんのスタイルを真似ても到底﨑田さんにはなれないことを大昔に気付いて、
別のやり方を目指して、産廃業許可申請専門特化で生きてきたのではないかと感じてます。
あまりに行政書士事務所としての毛色の異なる私がパネラーとして参加したことで、
意見は4対1に割れて、私が何度も異端説になったように感じます。
もちろん座談会ですので、少数意見を言い続けることも大事かなと思い、
私の意見を喋り続けてきました。
座談会に関して、2つほど心に残るテーマがありましたので、ここに書いてみようと思います。
ひとつ目は、
「行政書士業務はいずれ会計事務所に奪われていくのが、宿命ではないか」
ということ。
会計事務所は、顧問契約を通じて顧客と継続取引関係を持ち、そこに月1の信頼関係を育みます。
そのコミュニケーションの中から、行政書士業務が発生していくのが一番自然な流れであるし、
会計事務所は行政書士業務をアウトソーシングするのではなく、垂直統合していこうと考えても不思議ではない。
こういう議論だったと思います。
この議題、パネラーの中に巨大会計事務所傘下の行政書士法人である名南経営の大野さんがいたわけですから、
「名南経営の行政書士事務所の経営の仕方こそが、業界の理想形と言えるのか?」
という質問に振り替えてほしいところでした。
ところが、大野さんは、会計事務所が行政書士業務を垂直統合していく、という話とは真逆な話をするもので、
それが大変面白かったです。
私自身は、会計事務所が行政書士業務の一部を垂直統合していく、という未来は、想定できます。
その市場では勝負しない、というのが私の考えです。
私が、会計事務所と同じターゲットを想定していないからこそ、
当サイトのような、とても面倒くさいWEBサイト(廃棄物処理業の手続しか考えていません)があるわけです。
建築基準法51条の許可とか、PCBの申請とか、まだまだ無数にある産廃業許可申請の特殊なケースは、
会計事務所ではそうそう対応できるとは思えない、というのが私の考えです。
たぶん、会計事務所は、建設業者とも、運送業者とも、飲食店とも、クリーニング屋とも、学習塾とも、産廃業者とも顧問契約を締結しているはずです。
これらの顧客の業種から発生する許認可手続等にどんなものがあるのか、私は全ては分かりませんが、
会計事務所が、顧客の全ての業種に対応した行政書士事務所を垂直統合していくのは、
並大抵じゃできないと思います。
税務顧問契約の際に、業種を絞っておけば、きっと川下で行政書士業はしやすいでしょうが、
税務顧問先の業種を会計事務所側が絞っていくことに、意味があるような気が私にはしません。
行政書士は、その特殊性と専門性を活かすことで、会計事務所と競合しない市場で戦えるのではないかと思っています。
それに対して、会計事務所がその経営資源を行政書士事務所に投入して、本気で行政書士市場を狙ってきても、それでも本当に大丈夫なのか?
という意見もあるかと思います。
しかし、会計事務所がそこまで行政書士業務を専門特化してきたときには、会計事務所のシナジー効果、優位性はもはや消えており、
会計事務所の行政書士部門はもはや、ただの行政書士事務所になっているのではないか、と。
会計事務所という母体の力がありきの行政書士事務所は強そうかもしれませんが、
会計事務所に市場を奪われるようでは、行政書士としては、その程度の価値しかないと言われかねません。
私の目指す行政書士のあり方は、会計事務所と競合しません。
この点、昨日の座談会のパネラー4名の誰とも違う特異な意見を私は持っています。
私が気になった、もうひとつの論点。
聴講されていた方の一人が、最後に手を挙げて質問をしました。
「継続的な業務か、スポット業務か。」
私は、スポット業務は行政書士業務の特徴であり、またスポットにはスポットの強みがあるので、
スポット業務を基準に行政書士業は考えるべきだ、と発言しました。
するとすかさず、隣に座っていたあすみあの﨑田さんが、
行政書士業務をスポット業務(フロー)から継続業務(ストック)に切り替えていくことこそが、
﨑田さんの仕事の全てだ、という発言をしました。
隣同士に座る、しかもご近所の事務所同士で、真反対の意見というのがとても面白い。
その後、大野さん、長江さん、塩谷さんは、スポット業務と継続業務の関係は相対的であり、
継続してスポットを取る、という意見を言われてました。
私が言いたかったことは、まさしくそうした視点で、私よりも上手に代弁していただいた気分でした。
﨑田さんだけが、ちょっと違うことを考えていたように思えます。
面白い質問と回答が出たところで時間がきてしまい、
この論点をもう少し深く掘り下げられなかったことがやや残念でした。
この座談会、5名の事前打ち合わせも全くなく、パネラーさえも、どう展開するのか全く読めず…
しかし、一夜明け振り返ってみた時に、本当に面白いイベントだったな、と感じてます。
私自身、勉強になりましたし、刺激を受けることができました。
今後の行政書士人生、わき目もふらずに廃棄物処理業の専門家行政書士として、
日本一を極めようと思います。
(河野)