処分業許可(中間処理・最終処分)の費用と見積もりについて

「産廃の処分業の許可を取得したいんだけど、ざっくりなんぼくらいかかるん?」

この質問を、結構頻繁にいただきます。

この質問が、非常に答えにくいんです。

その理由は、どんな手続きが必要なのかを調査するだけで相当期間かかり、

どんな手続きが必要なのかが分からないと見積もりもしようがないからなんです。

 

そこで、上記のような問い合わせがあった場合は、

とりあえず私が現地まで行く、という方針をとっています。

 

しかし、

「どんな手続きが必要かが分からないってどういうこと?」

と疑問に思われる方も多いと思います。

私は、最初の問い合わせの電話口で、このように回答しています。

「御社が今後事業を行うにつき、

どのような手続きが必要かどうかを知っている人は、

今現在、世の中に誰一人として存在していません。

私どもがさせていただく最初の仕事は、どのような手続が必要かどうかを確定させることです。」

 

ご理解いただければ、現地訪問することにしています。

それらについて、今回は記事にしてみます。

 

この記事の目次

  1. 中間処理業許可申請には施設設置許可が必要かも
  2. 15条施設と施設設置許可
  3. 廃掃法上の手続と他法令上の手続
  4. 他法令上の手続と関係法令調査
  5. 処分業許可では、ざっくりの見積もりが困難なので・・・

 

 

中間処理業許可申請には施設設置許可が必要かも

今月の私は、前半は東京、後半は福岡で過ごしています。

最近の私個人の業務のメインは、産廃処分業許可申請手続です。

事務所全体としては、収集運搬業の許可申請件数が圧倒的に多いのですが、

現在の私は、処分業に対して情熱と時間を割いています。

 

処分業には、中間処理業と最終処分業の2つの業許可があります。

収集運搬業と大きく異なるのが、処分業の許可を取得するというのは、

この業許可=処分業許可を取得するにとどまらない話になってくるということです。

その代表例が、施設設置許可です。

 

 

15条施設と施設設置許可

以前にここで記事にしましたが、

処分業を営むためには、施設設置許可が必要になることもあれば、

施設設置許可が必要でないこともあります。

15条施設かどうかが処分業許可の運命のわかれ道

一般的には、施設設置許可が必要ない処分業許可申請の方が、

手続も簡略化されており、期間的にも短い=比較的早く許可が出る、ということになります。

 

施設設置許可の要否を分ける15条施設についての解説は、以前書いた記事に譲ります。

ただ、15条施設に該当するのかしないのかの判断は、すぐにできる場合もありますが、

解釈の相違によって判断までに数カ月の期間を要することもあります。

原理が全く同じ中間処理施設でありながら、

A県では施設設置許可を要し、B県では不要、ということもあるのです。

 

 

廃掃法上の手続と他法令上の手続

15条施設に該当するかどうかというのは、廃掃法の話ですので、

想定できるレベルの話です。

しかし、その施設を設置するにあたり、他法令での手続きを求められるということもありえます。

そうなると、もうどんな手続きが必要かどうかは、私たちにも予測困難です。

 

処分業の許可申請を受け付けているのは、

産業廃棄物指導課・産業廃棄物対策課・循環型社会推進課など、諸々の名称のついた課で、

彼らは廃掃法のプロです。

しかし、中間処理施設が他法令に抵触しないかどうかを判断する能力は、まず備えていません。

中間処理施設には、無数の関係法令がかかってくるかもしれないし、

かかってこないかもしれない。

 

 

他法令上の手続と関係法令調査

これまで述べてきたように、廃棄物処理業を行うためには、無数の法令との関係も調査します。

これを調べる手続きが、関係法令調査です。

これにも色んなやり方があります。

 

廃棄物の課から、関係各所に照会を回してくれるもの、

役所の一室に関係各所の担当者を集め、事業者立会いの下で公聴会を開くもの、

我々行政書士が事業者に代わって関係しそうなすべての役所を訪問し、意見をもらってくるもの。

等々様々なスタイルがあります。

 

関係法令に抵触したら、どうなるのか。

手続をするだけで済むものもあるかもしれませねんが、

施設の構造に変更を求められるかもしれませんし、

そもそもその施設では、許可を取得できないということもあり得るのかもしれないのです。

 

 

処分業許可では、ざっくりの見積もりが困難なので・・・

当事務所では、これまで何十件もの中間処理業許可申請に関わってきましたが、

最初に問い合わせを受けている段階では、この手続がこのあとどのように転んでいくのか、

まったく予想がつかないのです。

なので、この段階でのお見積りはできません。

そもそも、施設・機材以外でもっとも費用が掛かることが予想される、

生活環境影響調査が必要かどうかまで調査を終えていない段階で、

手続費用だけをお見積りしても、全く意味のないことではないかと思います。

 

一度会社に訪問し、土地や機械を説明していただき、

その内容を持ち帰り、役所の関係部署を回って調査することによって、

初めて手続きの流れが見えてくるのです。

 

この流れを正確に把握すること自体が、

当事務所が最も得意としていること(ケイパビリティ)ではないか、

と私は感じています。

もっとも、

「え?? それの何がすごいの?」

と疑問に思う方の方が多いことは、よく理解はしています・・・

 

(河野)