前回の記事に、許可不要で産業廃棄物処理を行えるという話を書きました。

廃掃法を回避する前にすべき許可取得コストの数値化

前回の記事は中間処理施設を念頭に展開していますが、

今一度この許可不要の廃棄物処理についてまとめてみたいと思います。

 

その事業に許可が必要か不要かというのを理解するのは、少々難しいものです。

無許可で行える産業廃棄物処理(収集運搬と処分を含む)というのが確かに存在します。

それがどういうことなのか。

前回記事との重複もあるかと思いますが、なるべく分かりやすく整理してみます。

 

まず、廃棄物処理業の許可が必要になるのは、

収集運搬なり処分なりを業として行おうとしている際に、

取り扱う物が「廃棄物」である場合に限ります。

廃棄物を運搬するから、廃棄物収集運搬業の許可が必要であり、

廃棄物を中間処理するから、廃棄物処分業の許可が必要なのです。

 

字面だけ見ますと、あまりにも当たり前のことを書いているように思えます。

廃棄物以外の物を運ぶ場合や、廃棄物以外のものを焼却する場合には、

廃棄物収集運搬業の許可や処分業の許可は不要です。

 

ここで実務的に問題になってくるのは、

「これは廃棄物なのか? それとも有価物なのか?」

ということ。

 

例えば、食品工場に保管してあった冷凍食品の賞味期限が切れたとします。

期限切れ冷凍食品は、美味しく食べれない=商品にならないものであり、

廃棄物のように思えます。

ところが、この期限切れ冷凍食品は、

もしかしたら家畜飼料の原料としての価値は持っているかもしれません。

或いは、堆肥やバイオマス発電の原料としての価値は持っているかもしれない。

 

賞味期限が切れた、という事情1つをもって食品が廃棄物になるとは限らないわけです。

つまり、ある物を見て、それが廃棄物なのか有価物なのかの判断は単純に成し得るものではないのです。

ある物を運んだりリサイクルしたりしている事業があったとして、

その事業に廃掃法上の許可がいるのか要らないのかの判断は、

その物に対するさまざまな分析を加えて初めて可能になってくるのです。

 

当事務所では、この分析について「有価性の判断」と呼んでおり、

御依頼を受けて総合判断説に基づき有価性の判断、或いは有価性の証明を行なっています。

有価性を認められれば、無許可での(広義の)リサイクルが事業として認められる事になります。

 

さらに次は、有価物ではなく廃棄物の処理であるにも関わらず許可不要な場合について解説します。

廃掃法14条に規定される「業許可」不要の場合の代表例として、

自社運搬、自社処分が挙げられます。

 

産業廃棄物処理の処理の基本は実は自社処理なのです。

ところが実際のところ、産業廃棄物の収集運搬・処分には特殊技術・機材が必要なために、

専門の産廃処理業者に委託しているというのがこの社会なのです。

 

しかし、もしも自分で産業廃棄物を中間処理場に持ち込んだり、

或いは自社で排出した産業廃棄物を自社で中間処理することが可能であるならば、

それは当然原則どおり、許可なくやってもらって構いませんよ、ということなのです。

自社で排出した瓦礫を破砕して路盤材や骨材として売却できるのであれば、

これは14条の業許可は不要だ、ということになります。

 

業許可の「業」とは、他社の廃棄物の処理を請け負うことに対価を貰う商売という意味です。

自社の廃棄物の処理に自社が対価をいただく、という事態はあり得ません。

なので、自社処理は業ではないということで、業許可不要というわけです。

 

ここまで話を進めて、やっと前回の記事で書いた15条の許可の話になるわけです。

15条は、産業廃棄物処理施設設置許可についての規定です。

産業廃棄物処理「業」施設ではありません。

他社から処理を請け負った産業廃棄物であろうが、自社排出の産業廃棄物であろうが、

15条に定める産業廃棄物処理施設であるならば、その設置には廃掃法15条の許可が必要になるのです。

これが、廃棄物処理施設設置許可、いわゆる15条許可。

 

ここからまた少々複雑になるのですが、産業廃棄物を処理する施設であれば、

どのような施設でも15条の産業廃棄物処理施設に当たるわけではありません。

産業廃棄物の処理施設のうち、廃掃法施行令7条に別に定める施設のみが、

15条の産業廃棄物処理施設に該当します。

施行令7条に定める施設のみが、廃棄物処理施設設置許可が必要になるわけです。

 

では、施行令7条では廃棄物処理施設をどのような要件で定義しているのか。

そこには種類と処理能力が定められています。

種類とは、品目らしきもの?と処理方法の組み合わせです。

 

さて、ここからが極めて実務的な話ですが、

廃棄物処理の技術には様々なものがありますし、当然新しい技術が日々生まれます。

似たようなプラントであったとしても、微妙な違いは必ずあるでしょう。

これらの施設が廃掃法施行令7条に列挙する施設であるのか、ないのか。

この判断ひとつ取っても、相当の知識や経験がなければできません。

 

当事務所でも、この施設が施行令7条に該当すると言えるか否かの判断は、

管轄の都道府県又は政令市の担当者とともに、時間をかけて行っています。

施行令7条の施設である、という判断は割とし易いですが、

逆に7条の施設ではないということはそう簡単には言えないはずです。

図面に登場している「汚泥の脱水施設」(これは施行令7条の施設)を、

図面上だけ「固液分離装置」と書き換えたところで、ここは実質的に判断をされますので、

15条の規制逃れはできません。(よく見るケース)

 

14条の業許可と15条の施設許可は、両方取得しているケースもあれば、

一方しか取得していないケース、どちらもないケースもありえます。

 

14条業許可しかない中間処理は、施行令7条に定めがない施設で処分業を営む場合。

15条施設許可しかない中間処理は、施行令7条に定める施設で自社物を処分する場合。

どちらもない中間処理は、施行令7条に定めがない施設で自社物を処分する場合。

そして14条業許可、15条施設許可の両方あるケースは、施行令7条に定めがある施設で処分業を営む場合。

 

15条の施設設置許可は、手続に時間的・費用的なコストがかなりかかります。

15条を避けたい気持ちは私は誰よりも理解しているつもりですが、

その判断はそれほど一律、簡単にできるものではありません。

自治体によって解釈が異なる可能性もあります。

 

(河野)