産業廃棄物収集運搬業許可申請の中でも、経験豊富な行政書士でも苦労するのが、
船舶による収集運搬業の許可申請です。
各自治体が公開している産業廃棄物処理業許可申請の手引きを読むと、
「運搬車両または運搬船舶」などという言葉が出てきますが、
船舶の許可申請なるものが本当に存在しているのか疑わしいと思われる方がほとんどでしょう。
「船舶の収集運搬業許可申請って、本当にあるんですか?」
県外の大手行政書士法人の方に質問されました。
それくらい、レアなケースなのかもしれません。
当事務所は、広島県に事務所がありますが、
広島から橋を渡った目と鼻の先である今治市は、
実は世界屈指の船主の街なんです。
ギリシア、香港と並び、愛媛船主(船のオーナー)は世界中に知られています。
今治市とは特殊な街で、
従業員わずかの家族経営の船会社が、一部上場企業並みの資産を保有していることもあるそうです。
都市銀行のエリート社員にとっても、今治支店勤務は出世の登竜門だと聞いたこともあります。
実際のところは不明ですが、愛媛県今治市が日本一の船の街であることは間違いなさそう。
当事務所では、船舶の収集運搬の許可申請を数多く出してきました。
確かに、愛媛県の船がかなり多かった印象があります。
地の利もあって、船舶の産廃業許可申請を多く経験してきました。
船舶の難しさの一つとして、港に接岸して、車両から船舶に積み込む行為、
或は船舶から車両に積み下ろす行為が、積替保管行為に当たるのではないかということ。
これは、過去に自治体に相談に行ったところ、
「積替保管に当たらない」
と判定されたケースと、
「積替保管に当たる」
と判定されたケースがあります。
後者では、船舶による積替保管という特殊な産業廃棄物収集運搬業許可申請となります。
船舶による運搬は、運搬量が莫大です。
それだけの産廃の排出案件があるということと、
港の接岸に別の許可や漁協の承諾等が必要になると、
案件としては大変シビアにならざるをえません。
下手したら、数千トンの産業廃棄物が港より先に進めないのですから。
愛媛県、今治市が近かったのもあって、色々な経験をさせてもらいました。
離島の場合の船舶の収集運搬は、これまた別の意味で特殊です。
(河野)
コメント