日本全国で産業廃棄物の収集運搬業の許可申請を代行していると、全国の処分場の処分単価の違いに驚きます。
収集運搬の許可を持っている業者には、『純粋な廃棄物処理業者』は割合として決して多くはありません。
建設業であったり、運送業であったり、海運業であったり、便利屋業であったり。
そういった仕事をしながら出てくる廃棄物を運搬するために、許可を取得している業者がかなり多いです。
一方、純粋な廃棄物処理業者も、もちろんあります。
本職のゴミ屋さんと、本業のついでに許可を取得する業者とでは、処分に対する考え方が異なっているように感じます。
やはり廃棄物処理の専門業者は、扱う物量が莫大ですので、廃棄物の処分単価や有価物の買取単価に大変シビアです。
一方、本業が別にある業者は、物量が多くなく、廃棄物を運搬する時間がもったいないという発想になるようです。
処分単価へのこだわりは、強くはない場合が多い。
廃棄物の処分単価を下げるには、
①一回当たりの運搬量を増やす
②処分単価の安い処分場へ運搬する(排出場所から遠いことが多い)
ということになります。
軽トラも10トンも、運搬にかかる人件費や時間に差はありません。
また、処分単価の安い処分場は、排出量の少ない山奥、郊外にあるものです。
排出量が多ければ、産業廃棄物は1000キロ以上の距離を旅させることにより、
処分単価を抑えられるケースがあります。
収集運搬業の許可は、都道府県単位になりますので、
元から県外の処分場へ運搬するという発想のない業者もいることでしょう。
しかし、他県の処分単価の安い処分場と契約を結べるのであれば、
他県の許可を取得して県外に廃棄物を運搬することも、十分あり得る選択肢です。
実際に、私はそういうケースを多く目にしてきました。
物量確保、運搬機材や人材の確保、許可の取得など様々なハードルがあるので、
廃棄物処理業を専門としていないと、なかなかできることではありませんが。
なお、県外からの産廃搬入に事前届出などの義務を課している自治体もありますので、
ご注意ください。
処分単価が安い、というのは、効率的な資源のリサイクルができているということで、
それをもたらすのは「技術」のはずです。
廃棄物処理も専門特化され、各社の処理技術が高度化されていくことが、
廃棄物リサイクル産業の発展に不可欠なのではないか、と私は思っています。
(河野)