私は経済学の本を読むのに夢中になった時期があります。

産業廃棄物処理や一般廃棄物処理の法規制を見るときの私の視点は、経済学から影響を受けています。

 

廃棄物というものは、排出した人間がそれを処理するのが本来の姿のはずです。

自分で出したゴミは、自分で捨てる。

それが、本来の姿のはずです。

 

自己責任論を徹底した時に、自分で出したゴミは自分でリサイクルしなければならない。

しかし、自分で飲んだビールのアルミ缶を自分で再資源化するなんて、不可能です。

そこに、再資源の専門業者が現れることになります。

廃棄物処理のコストは排出した者が費用負担することになり、そこに再資源化が事業として成立する土壌ができます。

 

産業廃棄物というのは、産業に伴い排出された廃棄物です。

産業廃棄物は、誰かが仕事をして利益を生みながら排出される廃棄物。

この廃棄物の処分費用を、利益が受けるもの以外の人が負担するのは、公平でなくなります。

経済活動により引き起こされる環境汚染のコストは、税金で負担するのではなく、経済活動で利益を享受する者が負担すべき。

この発想が、産業廃棄物処理に関する法規制の根底にあります。

 

一方、一般廃棄物の処理には、税金が投入されています。

事業系一般廃棄物と、家庭ごみの区別をする必要がありますが、

一般廃棄物の収集運搬、処分というのは、自治体がインフラとして提供している公共財の性質があります。

公共財とは、道路標識や信号機、公園などのように、誰が利益を享受しているのか分からないもの。

たとえば、一般家庭に廃棄物処理のコストを100%負担させると、不法投棄が増える可能性があります。

不法投棄の取締りコストは、行政サービスコストを上回る可能性もあるかもしれない。

ある程度の廃棄物処理を行政が賄うのは、致し方ない。

ただし、その線引きも必要で、産業廃棄物に関しては排出事業者に責任を負わせているということです。

 

(河野)